競合がいることが道標!? AI時代の起業家の営業最前線 MBA卒業後編 Vol.8

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── 恒例の及川さんインタビュー。前回は2026年5月中旬。顧客を探して製造業向けのカスタマーディスカバリーを始めた最中、AIの進化により環境が激変し、先の見えない暗中模索の姿がありました。今回のインタビューは9月後半。前回「過去で一番暗いインタビュー」と自ら振り返るほど苦しい状況から、4ヶ月で初めて大型の注文を得るところまで進んだとのこと。何を変え、何に気づいたのか。そのプロセスを、具体的な言葉のまま残します。

  • AIの進化で顧客が競合になるという変動にどう向き合ったか
  • 「買ってもらえる条件」を3つに整理した考え方
  • 競合がいることが道標。競合に対する捉え方とは
  • 直接材・間接材の話から見るAI時代のプロダクト差別化のかたち

第1弾:TOEIC250点!? 日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記 留学1か月目
第2弾:「英語上手」ではなく「コミュニケーション上手」を目指せ! 日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記 留学2か月目
第3弾:大ピンチ!学費が600万円も足りない⁉でもリスクがあるから面白い! 日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記 留学3か月目
第4弾:想定内の人生なんてもったいない!環境を変える秘訣は「アウトプット」にある! 留学4か月目
第5弾:髪の伸びとビジネスの伸びは比例する?!1学期乗り越えた日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記 留学5か月目
第6弾:波乱のコンサルティングプロジェクトと自らの起業に邁進!日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記 留学6か月目
第8弾:ビジネスパートナーとの起業挑戦の軌跡に迫る!日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記 留学7か月目
第9弾: 誘惑のない(?)ボストンで究める険しき起業の道!日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記 留学8か月目
第10弾: 1年目修了総集編!日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記 留学11か月目
第11弾: 一時帰国で過ごした鍛錬の夏休み!2年目へ突入した日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記 留学13か月目
第12弾:「不安はない」臨戦態勢を整え臨むラストイヤー!日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記 留学14か月目
第13弾:新たなチーム、マーケット、ビジネスアイデア…起業準備に進展あり?!日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記 留学15か月目
第14弾 : ネガティブな感情と闘いながらの起業準備!!遂にMVP完成間近!? 日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記 留学18か月目
第15弾 : 卒業間近で遂に今までの失敗と経験が形に!!海外経験の無い日本人がアメリカで選ばれる存在に。日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記 21ヶ月(卒業)
第16弾 : 海外経験の無い日本人が、海外MBAで挑戦と挫折を経験。遂にアメリカ西海岸挑戦の大きな切符を手にいれる。日本人MBA生のアメリカ奮闘記 卒業後編 Vol.1
第17弾 : ToB事業を作りたい方必見。 海外経験のない日本人が、世界最高峰のToBアクセラレーターに採択、挑戦の日々を追う。 MBA卒業後編 Vol.2
第18弾 : 「海外MBAの伏線回収、しなくていいの?」熱狂渦巻くピッチをやり遂げた起業家が選ぶアメリカの戦い方 MBA卒業後編 Vol.3
第19弾:アルケミスト・サンフランシスコ編が始動 資金調達から新生活までのリアルMBA卒業後編 Vol.4
第20弾:サンフランシスコは”集中装置” Alchemistでの苦闘と学び MBA卒業後編 Vol.5
第21弾: 売上創出へ チームビルディングの先で見据える2026 MBA卒業後編 Vol.6
第22弾「顧客が競合になった」─ AIが壊した競合環境の変化。それでもサンフランシスコで戦う理由 MBA卒業後編 Vol.7

この4ヶ月、何をしていたんですか?
前回は暗中模索とも言える状況でしたが

結論から言うと、製造業向けにマーケットピボットして、よかったなと思ってます。プロダクトのピボットでもコンセプトのピボットでもなくて、あくまで「誰に売るか」を変えたピボットです。

前回は、多分過去のインタビューの中でも一番暗い、ネガティブなインタビューだったと思うんですよ。背景には、2月ぐらいに、誰でもAIを使って簡単にコーディングできる世界がありました。プロダクトを作るということ自体が差別化ではなくなってしまって、自分たちのお客さんだと思ってた人が、「まず自分たちでやってみるわ」と言い始める。お客さんが競合になり始めるっていう、状況が結構しんどかった。

今では共通認識なってきましたが、AI時代の差別化のひとつはGo to Market、つまり営業だよねと。誰でも自分でプロダクトを作れる時代なので、製造業のお客さんも、やろうと思えばやれる。でも、やれてないマーケットだったんです。自由にやれる環境がないとか、そういう文化がないとか、時間がないとか、いろんな要因があって。

加えて、自分がキーエンス出身というバックグラウンドが、「この人の話、聞いてみたら面白そうかも」という信用になりました。彼らの好奇心につながるものを僕自身が持っていたので、営業活動もしやすいし、ネットワークも使いやすい。その結果、会社は良い状態になってきています。

競合がいることが道標!? AI時代の起業家の営業最前線 MBA卒業後編 Vol.8

この期間にどんな手応えが

6月末に最初に商談をしたお客さんから、9月頭に口頭で注文をいただきました。今は法務とセキュリティのチェックをしながら、最終の正式な契約を待っているところです。ここまで来たのは初めてですし、契約金額の大きさに対して非常にスピーディに進んでいます。
これまでと違ったのは、お客さんがすでに、その課題を解決するための予算を持っていたことです。
今までは、「こんなのどうですか?」と話しても、「面白いな。面白いけど……」で終わってしまう。その先には、誰の時間を使って、どこからお金を引っ張ってきて、社内でやるのかという、果てしなく長い道のりがあったんですね。今回は違って、「今それをやろうと思ってて、予算も取ってて、実はどこどこさんにお声がけしている」と、お客さんの方から言ってくれたんです。

競合の存在をどう捉えたんですか?

バブソンで「競合がいないマーケットは良くない」と習っていたんです。「競合はどこなんだ?」と聞かれて「いません」と答えると、「そんな商品はダメだ」と言われるんです。正直、競合なんていない方がいいやんと思ってたんですけど(笑)。今回、初めて競合がいる安心感を体験しました。

「もう競合検討してるんですか? ありがとうございます!!(あとは競合に勝てばいいだけですね)」という感覚です。

B2Bの営業をやっていると、ものを買ってもらえる条件が見えてくると思っています。僕は次の3つが揃うと、お客さんは買い始めると考えています。

  1. 人的リソース:導入したソリューションを社内に馴染ませるための人がいる
  2. お金:プロダクトを買う予算がすでにある
  3. ソリューションの特定:課題をどう解決するか、具体的な手段がすでに決まっている

お客さんが具体的に競合を検討しているということは、この3つが揃っているということなんです。競合と同じ価格帯なら許容する姿勢があって、導入したら誰がどんな責任でどのKPIを上げるかまで見えている。だったら僕たちは「もっとうまくやれます」「もっと安くやれます」「もっと簡単に導入できます」「導入後にこんなKPIを出せます」と言えればいい。

「お金ありますか?」「誰が導入して、誰が責任を持ちますか?」「どんな効果を上げたいですか?」と聞いても「効果って言われてもな……」となる、あやふやな状態が一切ない。こっちの力が試される瞬間に出会えたのは、やっぱり嬉しいですね。
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競合の存在が道標だと?

今回の競合は、日本の誰もが知ってるような急成長スタートアップでした。超大手が相手だと、戦い方があるのかという話になりますが、急成長しているスタートアップなら戦い方があります。

僕たちのカテゴリーで言うと、超大手はSAPやオラクルのような、誰もが知っている会社です。ただ、実はこれらとは競合していないんですよ。お客さんがそれらを入れたい理由は、社内のデータをまるっとAIが使えるデータベースにしたいとか、監査が入った時にセキュリティやコンプライアンスは大丈夫ですと言える状態にしたい、といったことです。表面上は競合する部分があっても、導入したい根っこの理由が全然別のところにある。

一方、急成長しているスタートアップは、最近生まれた会社です。僕らと似たレイヤーで戦っていて、SAPやERPが存在する中で、それでもお客さんが困っている部分を解決しようとして伸びている。そこと競合しているということは、僕たちも提供できる可能性が高いし、僕たちが提供しようとしているレイヤーで彼らも戦っている証明でもあります。しかも急成長しているということは、売上を上げられるマーケットだということです。あとは、彼らより良いものを、僕たちしか届けられないところに届ければいい。
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その競合との差別化はどう図ったんでしょうか?

これはすごく難しい話で、今回のケースだと、お客さんが解決したい問題は、競合のプロダクトでも解決できたんです。でも、そこで「その問題を解決したあと、さらに何がやりたいですか?」と聞いてみた。すると、「これもやりたい」と出てきた部分が、競合はカバーできなかったんです。これは会話の中で気づきました。

ただ、ここは正直、たまたま行き着いたんです。狙ったわけじゃない。カスタマーディスカバリーを数多く実施してきたこと、「これあかんな」と思ったらすぐピボットしたことが、ようやく功を奏した感じです。僕たちは、そんなに賢くやれるスタートアップじゃなかったので、バット振り続けたら、ちょっとボールがかすり始めた。まだヒットは打ててない、粘ってる状態です(笑)。

他のお客さんの状況や、売上の状況はどうでしょう?

まさにいまプロダクトを買おうとしているお客さんは、今のところ他にはいません。ただ、

実際に仕事で使ってもらい、プロダクトをチェックしてもらっている会社が2社あります。日本のエンタープライズで、支払いをしてくれた会社もあります。過去に払ってくれたお客さんもいましたけど、数百ドルという個人課金レベルでした。今回のように、エンタープライズが数百万円、1,000万円近い金額を払ってやりたいと言ってくれるのは、やっぱり全然違いを感じます。

営業でも、メールを送れば返信が来てミーティングにつながる。「それ面白いから、この人に繋いでみるわ」と紹介が出てくる。業界のアルアルの困りごとを、ちゃんと話せている感覚があります。キーエンス時代の打率に、だいぶ近づいてきました。

キーエンスの頃は、キラーフレーズがあったんです。「こういうのって、みんなどうやって解決してるんですかね?」「こういうの、よく聞くんですけどね」と言うと、「あ、うちもあります」となる。わざとらしい、餌のついた釣り針を垂らしていたんですけど(笑)、それがようやく自分の会社でもできるようになってきました。

四ヶ月で一番ネガティブなところから、ここに2年で一番ポジティブなところまで来ましたね。これぞスタートアップという(笑)

この4ヶ月、どんな動き方をしていたんですか?

CTOサイドは開発業務が多かったと思います。お客さんから出てきたニーズを、すぐ自社で実装して見せて、納得度をもらうというプロセスを繰り返しました。

もう一つ大きかったのが、GTMだけでなく、カスタマイズとオンボーディングをしっかりやることを差別化ポイントにしたことです。CTOが、お客さんの会社の近くに常駐して、3ヶ月間オンボーディングをやる。そういうサービスをつけました。

これは製造業の特徴なんですけど、皆さんインパーソンで会いたい、話を聞きたい、という傾向が強い。画面上の操作が分からない時にオンラインで説明されるより、「明日会社に行くので、その時話しましょう」と言われる方が好きなんですよね。

また、4ヶ月のうち2ヶ月間ぐらいは日本にも行っていました。日系の会社でアメリカに拠点を置く会社も顧客なので。
競合がいることが道標!? AI時代の起業家の営業最前線 MBA卒業後編 Vol.8

今後についてはどうでしょう?

最初の1〜4社のカスタマーサクセス、ひいては自社の成功を、しっかり作り上げることが、今年やらなきゃいけない最低限の仕事です。そのうえで、来期以降に売上を伸ばせるよう、新規のお客さんとの関係づくりを進めるのが僕の仕事になります。

もしかしたら、次回は導入したお客さんからの評価をお話しできるかもしれません。全然ダメで、契約を打ち切られましたというパターンもあるかもしれませんが(笑)。次回は、2026年の総括になると思いますね。

今後も引き続き、及川さんの挑戦をインタビューを通じて追わせてください!ご質問やご意見あれば、是非お問い合わせフォームをご活用ください。

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  • Boston SEEDs運営

    Boston SEEDs は B-SEEDs LLC (Delaware, US) 運営のオンラインメディアです。”Entrepreneurship Mindset”のカルチャーを世の中に更に浸透させるべく主にボストン在住の現役の MBA 生がボランティアで活動運営しています。 Note

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