本記事「TOEIC250点日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記」では、アントレプレナーシップ(起業家教育)の分野で世界No.1のバブソン大学にて、MBA生としてのキャリアをスタートさせた及川さんに密着し、バブソン大学でどのようなことに挑戦するのかや、そのプロセスで直面する課題・困難にどう立ち向かうのか、そこから得た学び等を追っています。
今回のインタビューは、本シリーズの第5弾となっております。バックナンバーはこちらをご覧ください!
第1弾:TOEIC250点!? 日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記 留学1か月目
第2弾:「英語上手」ではなく「コミュニケーション上手」を目指せ! 日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記 留学2か月目
第3弾:大ピンチ!学費が600万円も足りない⁉でもリスクがあるから面白い! 日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記 留学3か月目
第4弾:想定内の人生なんてもったいない!環境を変える秘訣は「アウトプット」にある! 留学4か月目
及川さん、今回もお願いします!早速ですけど、なんか坊主になってません?!
つい先ほどチャールズリバーのほとりで、半袖になって刈り上げてきました(笑)
今ボストンは真冬で、気温も-1度ぐらいなんですけど、チャールズリバーって風めちゃめちゃ強くて体感は-5度超えてましたね(笑)
坊主にした理由とかも、この後話せたらと思います!
前回のインタビューから1か月間の冬休みを挟んで今回ですが、まずは気になる秋学期の成績、実際どうでした?
秋学期は英語に追いつくので結構いっぱいいっぱいみたいなところから始まったんですが、最終的には中の上ぐらいの成績で終われたのかなと思います。
秋学期は、前/後半でクールが分かれていて、前半は全ての教科でB(平均)みたいな評価をいただいてました。それが今回の後半は、結構科目によってばらけて、驚いたのはマーケティングとビジネスアナリティクスが学年トップだったんです…!
どちらもグループ課題で、僕はマーケティングをチームから任せてもらっていました。チームメイトからは「その代わりこっちでビジネスアナリティクスやっとくわ」と言われ、半々で別れて取り組んだので、お互いにやることをやって最高の成績が取れたのがすごくほっとしましたし、嬉しかったです。
チームの勝因って何だったと思いますか?
仕事を任せられたっていうのが大きいと思います。やっぱりMBAって課題の量が結構多くて、それをあれもこれも手を出そうとするとどれも中途半端に終わったりします。一方で、「これは俺が得意だから俺が責任持ってやる。その代わりに、別の課題は責任持ってやってくれ」っていう分担ができて、適切な課題量をメンバーに振り分けられたのが勝因ですかね。
とはいえ全てに口出したがる人とか、逆に全てにあんまり協力的じゃない人もいたりするのかなと思ったんですが、そのあたりはどうでしたか?
前者は今回チームにはいなくて、後者はいたんですよね。1回も来ないメンバーが。でも、今回のチームメンバーは、自分が任された仕事でハイクオリティのものを出すことに喜びを感じる人ばかりだったので、その人が来ないからといって別に邪魔されるわけでもないですし、不満は出ませんでした。結構独特だったとは思うんですけれど、自分たちの能力値にある程度みんな自信があったんだろうと思います。
他の授業はどうでしたか?
オペレーションの授業は最下位だったんですよ(笑)
その授業もグループ課題で、先ほどとは別のチームでワークしていたんですが、振り返るとマーケティングとは逆に、明確な役割分担がなかったチームだったと思います。
このチームは入学当初から組んでいて、やっぱりお互いあんまり自分たちのことわかってないし、逆に誰が何できるっていうのもあんまりわかってない状態のチームだったので、役割分担や責任の所在がはっきりしてないまま、最後までクオリティも上がりきらず、終わってしまったなっていう感覚でした。だから、改善点は何だったって言われると、役割を明確に決めることだったかなと。
「役割の明確化」というキーワードがありましたが、グループ課題においてそれはなぜ重要なんでしょうか?
本当は、オペレーションのグループでリーダーを作った方が良かったし、ミーティングのアジェンダを誰が作るとか、ミーティングの日程を誰が決めるとか、そういうことまで含めて、役割を明確にしていった方がよかったと思っています。
これは、他の国の人とワークをする中で、国籍、文化を含め同じバックグラウンドじゃないので、余計にそういうルールが必要になると感じたからです。
ルールは多すぎてもよくないと思うんですけど、チームワークの骨になる部分やコアな部分はもっとルール化すべきだったな、と学びになりました。
総括して、秋学期は100点中何点でしたか?
60点ぐらいですかね。
今考えると、先程の授業の反省点とかもそうですけど、もっとこうすればよかったというのがいろいろ出てきます。
もっとYouTube見てる時間減らせばよかったなとかもありますし、やっぱりまだまだ無駄な時間、削れる時間はたくさんあったと思っています。
ただ一方で、言いたいことが言えないだったりとか、そういう自分のふつふつとしたフラストレーションは、学期の途中から改善することができたし、初めて海外に来て生活していることを考えれば、50点以上はつけてあげてもいいのかなっていうところです。
残りの40点は、何を改善したら100点になるんでしょう?
やっぱりコミュニケーションですね。
もうそれをこの学期というか、アメリカ来た瞬間からの課題でずっと引きずっちゃっていて、本当に嫌です。
まだまだ自分らしくない、と思っています。日本にいたら、会話の中心にいがちなポジショニングでしたし、騒がしい会を切り盛りするような役割もこなせたはずが、今はそういうパーティーやイベントに行きたくないくらいの感覚値なんです。もっと自分が持っているアウトゴーイングな部分、やんちゃな部分っていうのを出していきたいんですけど、なかなか出せない。
先輩やいろんな方の話聞いていると、このフラストレーション、モヤモヤが、MBAの2年間で消えることはなかなかなさそうなんですけど、それでもそこにはトライしていきたいなと思います。
(やはり端っこで写りがちな図)
そこに対して今年から何か取り組むことはあったりしますか?
一方で、やっぱりコミュニケーションはあくまで手段だと思っているんです。2ヶ月目にも「英語上手よりコミュニケーション上手を目指せ」ってうまく記事にまとめてもらってたんですけど、本当その通りだと思っています。
だから改めて英語にフォーカスした目標とかは置いてないんです。
今年の目標は、やっぱり自分のビジネスを形にすることです。お金を支払う意欲がある顧客がつくまで、自分のサービスを持っていくということを目標にしていて、その中で必要なコミュニケーションはおのずと出てくると思うんですよね。
顧客にインタビュー取ったりとか、教授と意見交換したりとか、ピッチイベントに出て自分のアイディアをピッチしたりとか。英語は、その中で磨かれればいいものかなと思っています。
(計画のままで終わらせない!)
前回までのインタビューで、ビジネスプランを作って友人とピッチコンペやアクセラレーターに応募してますと伺っていますが、あれからどう動きがありましたか?
チームとして、メインのビジネスアイディアは実際にモノを作って顧客に販売するみたいなものだったんですよね。実際に触れられるモノを作りたいという話だったので、お金が必要でした。
そのため、お金をある程度もらえるプログラムに応募しようということで、NECのビジネスプログラムに応募し、冬休みはそのために精力的に動いていました
そのプログラムに入ることができると、毎月約120万円がもらえて、かつ僕らのビジネスアイディアを支援するという形で最大600万円ぐらいが出ます。1年間、約120万円が毎月もらえるので、トータルで2000万円ぐらいもらえるんですよ。ただし、僕らのビジネスがうまくいったときには、会社の株式を譲渡するという条件のもとなんですけど。
僕は学費が払えないで有名なんですが(詳しくはコチラ)、このプロジェクトに通れば、学費払えて卒業できるしビジネスもできるということで、最高だなと思いました(笑)
最初は80〜90組ぐらいの応募があって、そこから最終5組ぐらいのスタートアップアイデアが選ばれます。僕らはファイナルの20組まで残ったのですが、そこでで落ちてしまい、すごく悔しかったです。それで、坊主になりました(笑)
新しく引っ越してきて駅までちょっと遠いので、電動キックボードを買ったんです。その出費も、このプログラムが通ればよかったんですが、落ちてしまったので、キックボード代の250ドル、散髪代でいけば8ヶ月分。8ヶ月坊主にすれば浮くな、と思ったのも理由の1つです(笑)
そのNECのコンペティション以外は、何か他にご参加されたプログラムはあったんですか?
秋学期は、チームにメンターがついて、定期的にビジネスアイディアを振り返るようなプログラムに、バブソンとMITで入っていました。これらはコンペではないのですが、9月に自分のビジネスアイディアを出して、ある程度実現性や熱意を認められたものがNECのプログラムに参加できるということになっていたので、ピッチコンペはNECが秋学期の集大成って感じでしたね。
2023年はどうしていく予定ですか?
今年はターゲットが4つあります。
- 「ベータチャレンジ」というバブソン主催で賞金が出るピッチコンペ
- 「サマーベンチャープログラム」という、専属の教授やワークスペース、住居がついて、夏休みに集中してビジネスアイディアを磨けるバブソンのプログラム
- それと同様のものがMITもありそのプログラム、それで3つ。
- NECのコンペが半期に1回あるので、あと5ヶ月後にもう1回チャンスがあります。
なので、これから自分のビジネスアイディアをブラッシュアップしながら、これらに挑戦していこうと思っています。ただ、今このビジネスアイディアでどこまで追うかに、すごい難しさを感じてます。もちろん自分としては、可能性があるビジネスアイディアだと思ってる一方で、このままお客さんがつかなかったり、支援してくれる人がいなければ、ビジネスとして世の中には出せません。
このアイディアを学生いっぱい追い続けるものなのか、夏休みで一旦区切って新しいビジネスアイディアを見つけに行くのか、悩みもあります。
なるほど。そのあたりもぜひこのまま追っていきたいなと思います。
僕が今住んでるところが、ケンブリッジというエリアで、アメリカの中でもすごくイノベーションが進んでる地区として有名なんですが、その中心にケンブリッジイノベーションセンター(CIC)という施設があります。そこに、いろんなスタートアップの方だったり、ボストンの学生だったりが使える共用ワークスペースがあって、これから僕も利用を始める予定です。
そのあたりもまた次回お話しできればと思います!
プライベートの話も伺えればと思いますが、冬休みはどう過ごしていましたか?
ちょうどクリスマスぐらいに引っ越して、今は新居で生活しています。というのも、秋学期は授業が毎日朝8時半から午後過ぎまであるという状態だったので、バブソン大学のキャンパスから近いところに住んでいました。ただ、次の学期からはかなり授業数も減るので、学校に行く頻度もそれほど高くなく、せっかくアメリカに来たのでボストン都市部に住みたいということで、引っ越すことを決めました。
あと今のほうが家賃が月1000ドルほど浮いていて、それも理由です。
(家の近くの路地:都市部はやはりアメリカって感じです。)
まず僕自身、環境を変えることが大好きなので、ボストンにいる間にあと2回ぐらい引っ越したいなと勝手に思ってるんです。やっぱり引っ越すこと自体が、かなり刺激的ですし、毎日見る景色が変わることはすごい面白いですね。
あとは、プライベートの繋がりで2回ほど、自分の今までの経験談をスタートアップにお伝えする勉強会を開いたりしました。
僕はキーエンス出身なんですけど、キーエンスの営業やシステムに興味があるという話があったので、それを体系的にまとめてお話したり、バブソンの日本人教授の山川先生のネットワークで、とある会社さんと勉強会をしたりもしました。
冬休みは、そういった勉強会があったり、日本人の友人とオンラインで話したり、自分のビジネスアイディアを教授にぶつけたり、ピッチイベントにオンラインで参加したり、バブソン卒の社長にお話聞いたりとか、人と会うというよりは、オンラインでミーティング繋いでお話しする機会がすごく多かったです。僕は実際に人と会うのが大好きなので、寂しさもありますが。振り返れば、いろいろやったなという感覚なんですけど、実際に会っていないので、実感としていろいろやりきった感覚もあまりなく、正直少し寂しいです。
また、日本から友人がニューヨークに来ることになっていたので、ニューヨークに旅行に行きました。
でも、その友人がコロナにかかってしまい結局来れなくて、金ないのにニューヨーク行って1人で中華食べて帰ってくる羽目になりました(笑)「もう何してんねん、俺!」みたいな感じです(笑)
ちょっとニューヨークは残念な結果でしたけども、今年はご旅行とか予定されてるんですか?
3月にマイアミでWBCが開催されるんですよ。
野球大好きなんで、授業さぼって観戦に行きたいなと思っています。見に行きたいなっていう気持ちだけで、実際お金どうすんねんってなってますが。
最後に今年の抱負を一言お聞かせください!
やっぱり起業したいです。起業家になりたいですね、今年は。
何をもって起業家と定義するかですけど、自分で考えたビジネスアイディアをもとに、お金を払ってくれるお客さんの目処が立つところまでを考えています。
アプリをリリースするとか製品をリリースするというところまでは、タイムラインを引いてもなかなか難しいので、コンセプトを作って実際にそれを市場でリサーチして、そこから得た実験結果だったり、改善内容を踏まえて、顧客を獲得するところまで達成したいと思っています。
お客さんありきで、さらに資金調達して実際にビジネスをローンチするのが、卒業後の目標なので、今年に限って言えば、「ああいいよ、それもし実現したら買うよ」というお客さんがつくところまで持っていきたいです。
今年が終わったら、僕もあと半年で卒業。もう最後の1年なので、本当に切羽詰まってます。
ここから、記事を重ねるごとにどう変化していくか、ぜひこの後の記事にもご期待ください!
ぜひ「髪の伸びとビジネスの伸びは比例する」ってところを見ていただければと思います!(笑)
如何だったでしょうか。本シリーズはこれから随時更新予定ですので、次回の記事もお楽しみに!ご質問やご意見あれば、是非お問い合わせフォームをご活用ください!!記事が良かったらシェアをお願いします!
投稿者
-
Boston SEEDs は B-SEEDs LLC (Delaware, US) 運営のオンラインメディアです。”Entrepreneurship Mindset”のカルチャーを世の中に更に浸透させるべく主にボストン在住の現役の MBA 生がボランティアで活動運営しています。 Note