大ピンチ!学費が600万円も足りない⁉でもリスクがあるから面白い! 日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記 留学3か月目

Boston SEEDs記事サムネイル (5)

本記事「TOEIC250点日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記」では、アントレプレナーシップ(起業家教育)の分野で世界No.1のバブソン大学にて、MBA生としてのキャリアをスタートさせた及川さんに密着し、バブソン大学でどのようなことに挑戦するのかや、そのプロセスで直面する課題・困難にどう立ち向かうのか、そこから得た学び等を追っています。

 

今回のインタビューは、本シリーズの第三弾となっております。バックナンバーはこちらをご覧ください!

 

第1弾:TOEIC250点!? 日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記 留学1か月目

第2弾:「英語上手」ではなく「コミュニケーション上手」を目指せ! 日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記 留学2か月目

 

それではさっそく、及川さんの留学3か月目を取材していきましょう!



及川さん、今回もお願いします!バブソンに入学してから2か月半が経ちますが、そろそろアメリカには慣れましたか?

 

その前のサマースクールも含めると、アメリカに来てから126日と21時間が経過していますが、全然です(笑)

 

なりたい姿や自分自身の生活に対するマインドセットが、行ったり来たり、何周かしてます。アメリカに来た当初は、「アメリカ人にならなきゃ」、「英語でコミュニケーションを取れるようになりたい」、「英語でジョークも言いたい」、「アメリカ人の彼女を作りたい」みたいな感じで思ってました。でも、MBAに来た目的は何だろうって考えると、ビジネスの学術的な知識を得るために、MBAの授業についていくことが大事だよねと気づいて。クラスメイトとの勉強よりも自分1人で勉強した方が身になりやすいと考えて、「アメリカ人になる」ことよりも1人の時間を優先した時期もあります。でも一方で、最近はまた「アメリカ人にならないとやっぱりやっていけないな」と思って、1人で勉強する時間よりも、人とご飯に行ったり飲みに行く時間をまた作り始めています。こんな感じで、何周も何周もぐるぐるしてます(笑)



外国人の友達と一緒に出かけたり、ご飯を食べたりすることはあるんですか?

 

ご飯を食べに行くこともありますけど、大学の中の食堂とかで完結することが多いです。僕は大学から徒歩15分のところに住んでいる一方で、クラスメイトは車で2、30分のところに住んでたりとかするので、学校の外で一緒に何かするっていうのはあんまりないですね。例えばハロウィンだったり、つい昨日の僕の誕生日会をやってくれてたりするときは、一緒に外で過ごします。けど、日常生活ではあんまりないですね。学校内でご飯を食べたり、ミーティングしたりとかするくらいです。ここらへんはもっと増やしていきたいと思っているところですね。。。



外国人の友達と一緒にご飯を食べることに緊張感や抵抗感はありますか?

 

全然ないですけど、クラスの中での会話と外での食事は感覚が全然違います。カフェで食事するときは全然抵抗感ないんですけど、クラスの中でディスカッションのときに質問を振られると緊張しますね。クラスだとしっかり答えないといけないというプレッシャーがあるので。



バブソンに入って2ヶ月半経ちましたが、順調だと思いますか?

 

楽ではないんですけど、わざわざ日本というコンフォートゾーンを飛び出してMBAに来ているという観点だと、順調にしんどさを感じてるかなって思います。

日本の一般的な大企業わざわざやめて、借金して、流暢な日本語を捨てて全く喋れない英語で生活するとチャレンジングな道をあえて選んでいるので、望み通りのしんどさを経験できてるかなっていう意味では順調です。

 

一方で、学びたいことをしっかり学んで、自分のキャリアが新たに見えてきた、みたいなことは今のところ全くないですね。まだ目の前のことをこなすのに精いっぱいという感じがあります。



及川さんは以前、2年分まとまった学費がないままMBAに来たとおっしゃっていたと思うのですが、2年目はどうやってサバイブする予定ですか?

 

全然予定とか決めていなくて、やったら何とかなるだろうなっていう考えで来ました。あんまり考えるタイプでもないのと、考え過ぎて行動できなくなる方が嫌です。

 

「行ってから英語でコミュニケーションできなかったらどうしよう」、「友達できなかったらどうしよう」「差別を受けたらどうしよう」、「お金払えなかったらどうしよう」って考え込んでしまうと、行動できなくなってしまう、そのこと自体が勿体無いので、とりあえずやってみるかみたいな感じですね(笑)

 

また、計算が立つ行動の先にあんまり面白みがないっていうのも事実で、計算が立たないような、リスク承知で起こした行動の先に自分の想像できないような出会いが待っていたり、そこに成長があったりとかが楽しいので、あまり考えていなかったですね。とはいえ、実際苦しいんですけど(笑)

 

大ピンチ!学費が600万円も足りない⁉でもリスクがあるから面白い! 日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記 留学3か月目

クラスメイトと写真撮影する及川さん(左下)



生活費を切り詰めているとおっしゃっていたと思うのですが、今住んでる家の家賃は具体的にどれぐらいなんですか?また、いつまで住む予定ですか?

 

家賃は1600ドル払っています。ついこの間まで1ドル150円くらいだったので、大体25万円くらいです。アメリカでは基本的に月単位ではなく年単位で契約することが多いので、僕は来年の5月まで住む予定です。それ以降はもう少しいい条件のところを探す予定です。

 

それから、僕がいるバブソン大学ではサマーキャンププログラムというプログラムがあります。これは、優れたビジネスアイディアを持っている学生が、夏休みの3カ月間、教授の使っているスペースを借りて自由にワークできるプログラムなんです。そのプログラムに受かると学校の中に住めるので、大きな足しになるかなって考えています。こういうプログラムも、バブソンに来る前は知らず、実際に来て学費のことを考えていたら知った制度なので、先のことを考え込む前に行動してもなんとかなるんだなって改めて思います。



話が変わるのですが、前回のインタビューの後、新しく芽生えた意識や感情の変化はありましたか?

 

まず、大学に関して言うと、授業内容が11月半ばからガラッと変わりました。バブソン大学の1年生の秋学期に限って、前半の2ヶ月間と後半の2ヶ月間で行われる授業が変わるんです。後半はオペレーション、マーケティング、ファイナンス、ビジネスアナリティクスでした。

 

授業内容がガラッと変わり、教授の特性や課題に対してスケジュールを組み直さなければいけないので、また大変な日々を送っています。新しく授業が組まれたことで、グループワークを一緒にするチームメンバーも変わりました。前半は20代後半の男性のチームだったのですが、後半のワークは、20代前半の女性、25歳の男性、30歳の僕なので、チームの雰囲気が変わりました。     今回の新しいグループは、みんなリーダーシップを持って仕事をやってくれるんで、ガンガン仕事取られちゃいます。結構な年齢差がある中で、仕事を取られたくないというプライドがあるので、前半のグループとはまた違った新しい刺激をもらっています。

 

大ピンチ!学費が600万円も足りない⁉でもリスクがあるから面白い! 日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記 留学3か月目

新たなチームメンバーとともに写真撮影する及川さん(左)



学校以外の方の問題では、2年目の学費が600万円ぐらい足りないんです。     実は今の学期が終わったタイミングで休学しようかなと思ったんです。休学している間に円安が少し収まってくれればいいなと思って。それに加えて、オーストラリアとかに短期でワーキングホリデーに行こうかなと考えていました。そうすれば、英語力を落とさずに、200万~300万円くらい貯金できると考えました。

 

今、英語力の問題で授業に完全についていける状態ではなかったり、パーティーに行ったり、外食したりができているわけでもない。加えて、起業したいと思ってバブソンに来たけど、学校の宿題があったりもするので、起業に全ての力を注ぎきれてない。こういうモヤモヤを抱えている中で、ワーホリは英語力を伸ばせるかつその間は学校の授業の復習や自分のビジネスにも集中できるので、すごく魅力的な選択肢に見えていました。

 

確かにロジックが通っていて、妥当な選択肢に見える一方で、休学に踏み切れない自分がいました。このアイディアが出てきたのは、全てのことをうまく回せてない現状の自分から逃げることになるんじゃないか、という思いからでした。

 

そこで、バブソン大学の山川教授に相談しに行ったら、”休学はらしくないんじゃない?”          と言われました(笑)「自分のビジネスに全力を注いで、来年の夏までにすごいものにできたとき、投資してくれる人が出てくる。それを目指したらいいんじゃないか。」というアドバイスをもらいました。その時に、ワーホリは魅力的な選択肢ではあったんですけど、少し逃げの選択だったと思い、決心がつきました。自分のビジネスをしっかり一本立ちさせることに対して自信がない、今のカリキュラムについていける自信がない、英語力を伸ばしていける自信がない、お金を払えないのような問題の全ての言い訳の集大成だったことに気づきました。また同時にそういう環境だからこそ成長できるチャンスなんだと思いました。

 

今までも中学生のとき少しはぶられたことがあったり、大学でも体育会に入れなくてサークルに入ったりとか、ちょっとした挫折はあったんです。それでも、すぐに自分が中心となってチームを回してる状況になることが多かったんです。でも、今は全然めどが立たない感じがするんです。自分が授業のワークやバブソン大学のコミュニティを円滑に回す目処が立ってないことに、すごいフラストレーションがあります。チームの中心を目指すべきなのか、割り切って脇役に徹するべきなのかに関しては、まだ自分の中でも定まってないんですけど、そういうフラストレーションがすごくあることに気が付きました。

 

アメリカでの生活にも少しずつ慣れてきて、ビジネスアイディアをもっと膨らましたいとか、授業でもっと発言できるようになりたいとか、やりたいことが増えました。しかし、やりたいことが増えてきた一方で、それらを全部こなせていない。全部60点ぐらいのクオリティでしかできていないことへのフラストレーションがあります。このフラストレーションから逃げたくて、ワーホリという選択肢を魅力なものにするためのロジックを固めていました。今はやっぱりそれが逃げ道だということに気づき、前向きになりました。



今検討しているビジネスは1人で進めるのですか?それともビジネスパートナーとともにやる予定ですか?ビジネスの方向性も教えてください!

 

MITのMBAに通ってる友人と一緒に2人で始めようとしており、ビジネスアイディアは2つあります。

 

1つ目は物流関係のビジネスで、具体的には、日本とアメリカの間で、物を運ぶ・受け取ることを容易にする環境を築いていきたいと考えています。2つ目はスマートタグ(GPSの機能がついたタグ)をもっと世の中に普及させたいなと考えています。

 

実は、この2つのビジネスアイディアは、両方とも自分の困りごとから来ています。1つ目の物流のビジネスは、今回アメリカへ移住するタイミングで、コロナやロシアとウクライナの戦争などの影響で、物流コストがかなりかかりました。その問題に直面した1人として、物流コストや時間がすごくかかってしまうこの環境を変えたいと思って、ビジネスアイディアが生まれました。



このビジネスでは、具体的にどのように問題を解決しようとしているんですか?

 

日本からボストンに来るときに、トランクをパンパンにして空港に行ったら、チェックインカウンターで「重量オーバーなので荷物を減らしてい下さい」と言われたんです。

 

でも、僕がそんなやりとりをしている一方で、僕の目の前の人がリュックサック1個飛行機に乗り込んでいくんですよ。「いやいや。僕のやつ持っていってくれよ」みたいな。その人たちは無料でトランクを積み込めるサービスを使っていないんです。

 

この経験から、物を運びたい人と荷物のキャパシティを余らせている人のマッチングサービスを作って、物を運んでもらうサービスを思いつきました。旅行者の方はそれでお金儲けができるし、物を運びたい人は一般的なデリバリーサービスを使うよりも安く早く運べるようなプラットフォーム作りができたらいいんじゃないかなと考えています。違法薬物を運ぶなど、セキュリティ上の明確な障壁があるだけに、こういったビジネスはまだ世の中に生まれていない。どれくらいの人が同じような困り事を感じているかから調べないといけないんですが、こういったことを解決できたらいいなと思っています。



もう一つの方はどんなビジネスですか?

 

もう一つはスマートタグを用いたビジネスです。これも自分の経験から生まれたのですが、財布やコートをなくしたり、盗まれてしまうことがよくあるんです。そして、盗まれるたびに、「うわー、スマートタグを入れておけばよかった!」って後悔するんです。でも、新しくサイフを買ったときには、3千円くらいのスマートタグを買わないんですよ。

 

ただ、実際に財布をなくしたときは、3万円でも4万円でも払うから取り戻したいと思うんですよ。物をなくす前は3千円も払いたくなかったにもかかわらず、なくした後にはその十倍の金額を払ってでも取り戻したいと感じるんです。このギャップが面白いなと。そこで、スマートタグを無料で配布しようと考えました。

 

物をなくしたときに連絡してもらえれば、「あなたのスマートタグの所在地を有料で教えますよ」という形にしたいんです。つまり、お金を払うタイミングを変えたいと思っています。一般的には、物をなくしたときの保険としてスマートタグを買ってると思うんですけど、実際になくしてからお金を払って所在地を見れるようにすればいいんじゃないかと考えています。



今後も進捗を教えてください!話は変わるのですが、ボストンはもう寒いですか?

 

そうですね。寒いときは朝はマイナスですけど、昼には10度ぐらいまで上がります。ここ2日、3日ぐらいかなり温かくて25度ぐらいまでに値上がっています。あまりボストンらしくない気候らしいんですけど。

 

気温が高いので非常に生活しやすいです。明日は「スパルタンレース」という結構重ための障害物競走に出ます。ボストンレッドソックスの本拠地のフェンウェイパークで行われるので、気温が暖かいのはありがたいです。



これは、Boston SEEDsの事務局の「おじさんチャレンジ」でも取り上げる予定です。事務局の執筆者と及川さんが何かチャレンジする企画ですか?

 

そうですね。30というと、気軽に若いとも言えない年齢なので、挑戦していこうと思っています。かなりしんどいらしく、「しんどいことを提供する」ことがレースの主催者の意図でもあって、世界中でものすごい人気を博しているレースです。

 

リーグ主催者の意図は、「世界的に認められているチャレンジングなものを乗り越えたことで、自信をつけてもらいたい。人生の価値観を変えてもらいたい。」というものなんです。だから、そういった意味でしんどいものなんだと思います。



スパルタンレースの写真やレポートは、ぜひ別記事で読者の方に見ていただきたいですね。

 

そうですね。最近、少し体力的に追い込んでることが多いので、頑張ってきます。試験前は、学校に寝泊まりするみたいな感じになっています。この間の金曜日が僕の誕生日だったんですけど、その日はファイナンスの中間試験でもあったんですよ。

 

ファイナンスの試験勉強のために木曜日に学校に来て、図書館で勉強し、閉館後は24時間あいている建物に移動して勉強を再開。そのまま学校に泊まり、シャワーも浴びず、歯も磨かずに試験会場に直行しました。試験後はすぐに帰宅して爆睡した後、夜には誕生日パーティーに行って二日酔いで帰ってきました。そして、明日はスパルタンレースがあるという感じです。

 

大ピンチ!学費が600万円も足りない⁉でもリスクがあるから面白い! 日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記 留学3か月目

教室にあるホワイトボードを使いながら試験勉強に励む様子



週末までしっかり充実しているんですね。

 

そうですね。それはキーエンスのときの上司から教わった生き方で、どうしてもキーエンスは、月曜日から金曜日まで毎日10~13時間ぐらい働きます。これは、ベンチャー企業や起業家に比べれば大変ではないのですが、一般的な大手企業と比較すると長い勤務時間とされる中で、「月曜日から金曜日がしんどいと感じているようではまだまだだ」と言われてましたね(笑)

 

「月曜日がしんどいとか、日曜日の夜に、明日会社に行きたくないって思うのは、週末の追い込みが足りない」と(笑)「金曜日の夜から日曜日の昼までめちゃめちゃ追い込んだやつは、明日から月曜日で嬉しく思える。だから金曜夜から日曜昼までもっと負荷をかけろ」という教えがありました(笑)

 

あながち間違いとは思っていないので、今でも「金曜日から日曜日の負荷をどれだけ上げていくか」意識していますね     。「月曜日から金曜日を乗り越える秘訣は、金曜夜から日曜日にさらに追い込む」っていう。。。。(笑)



キーエンスらしい名言をもらいましたね。今月は以上で、来月は少し忘年会ということで飲みながら酔っ払いながら、本音も出しつつインタビューできたらと思いますので、引き続きよろしくお願いします!



如何だったでしょうか。本シリーズはこれから随時更新予定ですので、次回の記事もお楽しみに!ご質問やご意見あれば、是非お問い合わせフォームをご活用ください!!記事が良かったらシェアをお願いします!

投稿者

  • Boston SEEDs運営

    Boston SEEDs は B-SEEDs LLC (Delaware, US) 運営のオンラインメディアです。”Entrepreneurship Mindset”のカルチャーを世の中に更に浸透させるべく主にボストン在住の現役の MBA 生がボランティアで活動運営しています。 Note

Share on facebook
Facebook
Share on twitter
Twitter
Share on linkedin
LinkedIn