本連載記事「日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記」は、アントレプレナーシップ(起業家教育)の分野で世界No.1のバブソン大学にて、MBA生となった及川さんに密着し、日々の発見や及川さんの成長を追い続けるドキュメンタリーとなっております。
今回のインタビューは、本シリーズ第14弾となっております。バックナンバーはこちらをご覧ください!
第1弾:TOEIC250点!? 日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記 留学1か月目
第2弾:「英語上手」ではなく「コミュニケーション上手」を目指せ! 日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記 留学2か月目
第3弾:大ピンチ!学費が600万円も足りない⁉でもリスクがあるから面白い! 日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記 留学3か月目
第4弾:想定内の人生なんてもったいない!環境を変える秘訣は「アウトプット」にある! 留学4か月目
第5弾:髪の伸びとビジネスの伸びは比例する?!1学期乗り越えた日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記 留学5か月目
第6弾:波乱のコンサルティングプロジェクトと自らの起業に邁進!日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記 留学6か月目
第7弾:ビジネスパートナーとの起業挑戦の軌跡に迫る!日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記 留学7か月目
第8弾: 誘惑のない(?)ボストンで究める険しき起業の道!日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記 留学8か月目
第9弾: 1年目修了総集編!日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記 留学11か月目
第10弾: 一時帰国で過ごした鍛錬の夏休み!2年目へ突入した日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記 留学13か月目
第11弾:「不安はない」臨戦態勢を整え臨むラストイヤー!日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記 留学14か月目
第12弾:新たなチーム、マーケット、ビジネスアイデア…起業準備に進展あり?!日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記 留学15か月目
第13弾 : ネガティブな感情と闘いながらの起業準備!!遂にMVP完成間近!? 日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記 留学18か月目
シリーズ第14弾では、遂にバブソン大学MBAをしたことでMBA生活の振り返りと今後について語ります!
卒業おめでとうございます。1週間前ですね、ご卒業されたの。
率直に現在の心境や状況伺っても良いですか?
及川さん: 有難うございます。まず卒業式ですが、めっちゃ寒かったですね。日本から来てくれホームメイトや家族が凍えていました。現在の心境は、卒業した達成感よりは「やばい、やばい、やばい」という焦りが強いです。もう学生ではないんだ、社会で価値を生み出さないと認められない立場に戻ってしまうんだと思ってしまって。その怖さが結構強いというのが正直な所です。
状況に関して、前回のインタビューを受けてから3ヶ月強経ったのですが、色々なマイルストーンがありました。
まず、バブソン大学のMBA公式クラブ組織 Babson Acceleration Clubが主催するピッチイベントでファイナリストに選ばれました。3月末頃にイベントがあり、惜しくも(?)優勝出来なかったのですが、大きいマイルストーンだと思っています。
また、並行してJETROが提供する日本の起業家が海外展開をするための支援プログラムがあり、そこで壁打ちを受けていました。
それらの経験から、自分たちもしっかりしたアクセラレーションプログラムに入って指導を受けたいよね、という話がCo-founderとの間で生まれ、バブソン大学が夏に10週間のアクセラレーションプログラムであるBabson Summer Venture Programに応募してみようよっていう話になり、申請をしたところ、12社のうちの一つに選ばれました。(日本人としては10年ぶり)
一方で、スタートアップ準備の事ばかりにリソースを省いていたので、勉強を全くしておらず、テストの点数が結構やばい状態になったんですね。最後まで卒業できるか分からない所まできてて、慌てて勉強して、、ヒリヒリ感を味わいながら、本当にギリギリで卒業式を迎えました。
卒業ギリギリとはヒリヒリしますね。
スタートアップ準備は良いニュースばかりですが、前に進んでいる手応えはありますか?
及川さん: 2年間結果が出ていなくて成長している実感が無かったのですが、最後の2ヶ月、いや1ヶ月ぐらいは成長を実感できた気がします。MBA来て良かったな、諦めずに挑戦し続けて良かったなと、自分を認められるような期間になっていたと思います。
(結果を得る事が出来た要因は何だと思いますか?という質問に対して)
大きく二つあるかと思ってます。一つは、ビジネスアイディアの内容を自分のバックグラウンドがフルに活かせるものにピボットしたこと。もう一つは、今のCo-Founderがプロダクトを作れるという事です。特に二つ目は、プロダクトのデモをすぐ作れる環境が出来たので、自分たちの事業アイディアはここまで進んでますよ、というアピールが対外的に格段にしやすくなりました。もちろん100%のプロダクトではなく、30-40%程度のものなのですが、それでも形が見える状態を作るというのは大事で、ピッチイベントのファイナルにいけたのも、アクセラレーションプログラムに受かったのも、Co-Founderのおかげだと思います。
一方で、僕の貢献点もあったかと思います。僕は昨年一通り失敗しているので、その経験を踏まえてピッチ内容やインタビューの良い受け答えがどういうものかを理解している部分があるんですね。Co-Founderはどちらかというアカデミックなものや勉強が得意なので、そこは補完関係にあったかと思います。
昨年に比べて行動量も増えました。手元にプロダクトのデモがあるとターゲットカスタマーからフィードバックをもらいたい気持ちも増えるので、そのお陰で色々と行動を起こせました。英語コミュニケーションへの抵抗感も課題でしたが、昨年夏のインターンシップの中で、英語を使うプロジェクトがあったおかげで、心理的ハードルはすごく下がっていると思います。
アクセラレーションプログラム受けたいよねってなった背景と今回参加するプログラムの詳細をもう少し伺っても良いですか?
及川さん: 今まで僕は起業をしたこともなく、アメリカで働いた経験もないです。そういう人がアメリカで急にビジネスを始めて、誰かが認めてくれるのってすごい難しい状況だよねって思っていたんです。
例えば、日本の市場だとキーエンスで営業やっていて、海外MBA取った人が営業向けのソフトウェアを作りますって言えばある程度反応があると思うんです。それがアメリカだとキーエンスも分からないし、日本でしか営業やってないし、英語も拙いしという現状なので誰からに認めてもらう機会が必要だと考えました。僕達のビジネスアイディアだけでなく、能力だったり、実現可能性であったり、総合的なポテンシャルを信じてもらいたく、アクセラレーションプログラムに参加したいなという結論に至りました。
それで、アクセラレーションプログラム10個ぐらい応募をして、Babson Summer Venture Programに選んで頂きました。このプログラムでは、週に1回のメンタリングと週に3回の起業家ゲストスピーカーセッションがあり、スキルセットなどを教えてもらえます。全体が10週間のプログラムで7月末まで実施予定です。
卒業ということで、2年間を振り返って100点満点中何点つけますか?
及川さん: 入学した時に、目標通り・描いていた通りになっているかという観点では、15点ぐらいだと思います。1年目で起業成功すると本気で思っていたので笑。でも、今の状況に満足しているかと言われると100点です。
英語もアメリカで学生生活送れば、ペラペラになると思っていましたし。実際はボキャブラリーのような英語力という観点では向上している感覚はなく、コミュニケーションはかなり取れるようにはなっていますが、これも2年目からです。スタートアップ関係のプログラムに出ると皆同じ目線なので、自然とこちらももっと話したくなるという環境ができていて、それが良かったのだと思います。
満足度100点を付けたのは、本質的に海外MBAに求めていた環境を手に入れる事ができたからです。それは“2年前当時に全く想像できない自分になっている”ということです。海外MBAはこういう所だろうっていう想像を持ってきましたが、良い意味でも悪い意味でも色々覆されたんですね。それらの不確実な環境で揉まれたからこそ今の自分がいると思うと、とても満足できる結果だなと思っています。余談ですが、海外MBA不要論って、一部ありますが、海外MBA行った人があまり不要論を唱える人いないんですよね。MBAに来る前の想像とは違う経験をされたからこそ、とても有意義な経験だったのではないかと思っています。
アクセラレーションプログラムが終わった後の予定を教えてください。
及川さん: Co-Founderとは、アメリカの西海岸に行こうと話しています。僕は「環境が人を変える」という言葉を強く信じており、ソフトウェア系のスタートアップが集まる場所といえばアメリカのシリコンバレー界隈になります。まずはそこで勝負してみたいなという考えです。実際にサンフランシスコ、パロアルト、マウンテンビュー、サンノゼ周辺に先日訪問してきて、エコシステムの熱量を感じました。ボストンもとても熱量が高いエコシステムを持っているのですが、メディカルやバイオ、アカデミックがメインなので熱量の種類が異なるんですよね。
最後の質問です。MBAでやらなかった後悔をしていることってありますか?
及川さん: めちゃめちゃあるような気がするのですが、パッと出てこないですね。もうちょっとYoutubeで漫才見る時間減らしても良かったよなとか笑。でも、振り返るとあの時間は当時必要だったんですよね、精神的にも疲れてましたし。もう少しお金があれば、ネットワーキングも積極的に出来たよねとかも思います。2年目は奨学金が降りたので、少し広げる事が出来ましたが、英語で話す機会も増やせたと思いますし。ただ、それらの制約があったからこそ今の結果が出ているのだとも同時に思います。制約があったからこそ、最もリソースを使わなくてはいけないことって何だったけ?と真剣に考えましたし、行動も出来た。
なので、僕は現在の状況と自分が取った決断に100%満足しています。今から海外MBAなどのキャリアチェンジをされる方も、是非自分が最も手に入れたいものが何かという事を真剣に考え、リソースを投下できるようにするのをオススメします。決断を迷っている方は、まずはやってみる、そのプロセスの中で違うなと思ったらやめたら良いと思いますし、取り敢えず行動に起こすと何かが見えてくると思います。
及川さん、2年間もお付き合い有難うございました。今後も挑戦は続くと思いますので、また時期を見てお話お伺いできれば幸いです。本当に2年間お疲れ様でした。卒業おめでとうございます。
如何だったでしょうか。本シリーズは次回が最終更新予定ですので、次回の記事もお楽しみに!
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Boston SEEDs は B-SEEDs LLC (Delaware, US) 運営のオンラインメディアです。”Entrepreneurship Mindset”のカルチャーを世の中に更に浸透させるべく主にボストン在住の現役の MBA 生がボランティアで活動運営しています。 Note