誘惑のない(?)ボストンで究める険しき起業の道!日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記 留学8か月目

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本記事「TOEIC250点日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記」では、アントレプレナーシップ(起業家教育)の分野で世界No.1のバブソン大学にて、MBA生としてのキャリアをスタートさせた及川さんに密着し、バブソン大学でどのようなことに挑戦するのかや、そのプロセスで直面する課題・困難にどう立ち向かうのか、そこから得た学び等を追っています。

 

今回のインタビューは、本シリーズの第8弾となっております。バックナンバーはこちらをご覧ください!

第1弾:TOEIC250点!? 日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記 留学1か月目
第2弾:「英語上手」ではなく「コミュニケーション上手」を目指せ! 日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記 留学2か月目
第3弾:大ピンチ!学費が600万円も足りない⁉でもリスクがあるから面白い! 日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記 留学3か月目

第4弾:想定内の人生なんてもったいない!環境を変える秘訣は「アウトプット」にある! 留学4か月目

第5弾:髪の伸びとビジネスの伸びは比例する?!1学期乗り越えた日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記 留学5か月目

第6弾:波乱のコンサルティングプロジェクトと自らの起業に邁進!日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記 留学6か月目

第7弾:ビジネスパートナーとの起業挑戦の軌跡に迫る!日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記 留学7か月目

シリーズ第8弾の今回は1年目の締めくくりを控える及川さんの学生生活、そして事業進捗(バックナンバーでも取りあげていますが、及川さんは今起業に挑戦しています)に迫っていきます。



及川さん、近況はいかがですか?

及川:現在4月の後半なので、あと1週間で、1年目のカリキュラムが全部終わります。授業は、4つの選択科目を履修しているのですが、うち2つはレギュラークラスではなく、週末に集中的に行われるもので、試験などもすでに終わっています。あとは残りのレギュラークラスで、プレゼンテーションと試験を受ける予定です。



週末に集中的に実施する授業は、ご自身で選ばれたですか?

及川:そうです。
バブソンの場合は、起業をしたい人を支援するという意図もあり、比較的授業のペースを各々決められるようになっています。僕の場合は、このセメスターで、今取り組んでいるビジネスの土台をしっかり作り上げたいと思っていました。

時間がかかるプロセスだとは思っていたので、その時間が取れるように、集中講座を使って授業の方はぱっと終わらせるようにしましたね。


週末にある授業とレギュラークラス、内容に違いはありましたか?

及川:得られる知識の量は、レギュラークラスのほうが多いです。集中講座だと、時間も少ないですし得られるものは少ないですね。

加えて、レギュラークラスの場合、授業の内容を纏めて行うのではなく、小分けにして1週間ずつ進めていくのですが、その1週間の間にもちろん自分のビジネスも進捗が出ています。
自分のビジネスにおける興味関心が移り変わっていく中、それに対して授業も並行して進んでいきますので、レギュラークラスであれば授業で学んだものを、即時ビジネスに活かすことができます。また、教授との距離が非常に近いので、授業外の自分のビジネスで今何が起こっているかを授業で相談できます。授業と関連ありそうなトピックだったら、授業で質問したり、その後メールで聞けたりとか。

レギュラークラスの方が授業時間も長いですし、回数も多いですし、自分のビジネスや授業外でやっていることと並行しながら、授業でインプットしてそっちにアウトプットしてっていう動き方ができる。そういう観点で学びは多いと思います。



一方で、集中講義のメリットは何でしたか?

及川:想像通りだったのですが、自分の時間をたくさん作れますね。

(レギュラークラスと集中講義で、最終的な成果物や成績に関わる要件は違うのですか?という問いに対して)

及川:授業によりますね。僕はリーディングイノベーションという授業と情報商材のプライシングの授業を取っていたのですが、それらはレポートとプレゼンが要件でした。



それらを終えて、レギュラークラスの課題は何が残っているですか?

及川:プレゼンテーションが2つと試験が1つですね。
バブソンコンサルティングエクスペリエンスという授業で、ファイナルプレゼンテーションが残っています。あと顧客行動論の授業もファイナルプレゼンテーション、エコノミカルアナリシスという経済学の授業は試験が残っています。



(授業の習熟度・進捗はどうですか、という質問に対し)

及川:それぞれ進捗も、自分の身の入り方も全然違うのですが…(笑)

一番身が入っていないのはバブソンコンサルティングエクスペリエンスという授業です。

僕は自分のビジネスをやりたいという中で、他人の会社のコンサルティングには、全く身が入らなくて。そんなことやってられるかぁ!みたいな感じです笑 

とはいえ、僕たちが相手にしている企業は、サステナブルファイナンスソフトウェアと呼ばれる非常に面白い商材を扱っています。

カーボンクレジット発行団体が簡単に二酸化炭素削減量を計測できるソフトウェアなのですが、近年よく言われるカーボンニュートラルを促進したり、カーボンクレジットを適切に発行し、環境問題に取り組むことを促進できる商材です。

会社はまだ創設して1,2年ぐらいで、プロダクトをどういうマーケットに持ち込んだらいいのかという相談を僕たちは受けています。

ただ、そのプロジェクトに対して僕以外のメンバーも身が入っていないようで、結構崩壊していて、、(笑)


(メンバー全員がやる気ない中で、どうやってそのプロジェクトを進めているのですか?、という質問に対して)

及川:まず「みんなやる気がない」ということを、認識し合うことが大事です。笑

そんな中で誰か1人が頑張っちゃうと、チームに不協和音が生じます。みんながこのプロジェクトでどれくらいの評価を取りたいか、どこをゴールにするかというすり合わせが大事ですね。

「B-でいいよ、いやもうCでもいいんだよね(*評価はA+が最高で、Dだと落第)」なのか、「いやいや俺コンサル業界に行きたいから絶対A取りたいんだよね」なのか。それを認識することがすごく大事で、その観点で僕のチームはやる気のある子がいなかったので、ほどほどのリサーチでプレゼン資料を作って、ほどほどで終わらそうと、そういうマネジメントの方法になりましたね。

やる気ないならないなりに足並み揃える、っていうマネジメント。会社だと許されないと思うのですが、学生なので(笑)

誘惑のない(?)ボストンで究める険しき起業の道!日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記 留学8か月目(全然ないなりに足並みを揃えていたチームの写真)

 

その他の授業は個人ワークですか?

及川:そうですね。

エコノミックアナリシスというのは経済の授業は、プレゼン3つに、中間期末の試験がある、結構重めの授業でした。グループでプレゼンテーションを行うのですが、グループが大人数ではなく2人ペアだったので、主導権を持って取り組むことも求められました。

授業の内容自体が今の自分のビジネスに生きるかというと、マクロな経済学でしたので、あまり直結しない印象でしたが、授業で課されるアサインメントをこなす中で、自分の英語力とコミュニケーション能力を伸ばせたかなと思っています。

英語のコミュニケーションは今も苦しみ続けているのですが、1on1であれば自分の言いたいことを伝えられていると思います。時にはボディランゲージ使いつつ、向こうに合わせてもらいつつという感じではありますが。

 

もう一つは顧客行動論の授業で、こちらは逆に7人くらいの大人数でグループワークをしていきます。オンラインで開催されている授業で、フルタイムMBA生以外も結構受講しております。木曜日の夜18時半から21時なので、日中フルタイムで働いている人たちが授業に出席しており、ダイバーシティを感じる授業です。

この授業は自分の中で、グループを巻き込んだという感覚が強いですね。好きな人とチームを組んでプレゼンテーションを作成してください、というお題が出されたのですが、メンバーを集めて僕が主軸で進めることができました。

 

僕が自分で進めているビジネスアイデアの競合になる既存プロダクトはAppleのAir Tagあたりなので、この授業では是非Air Tagの研究をしたいと考え、声をかけたメンバーにそれを打診してチームで取り組みました。

そうやって主体性を持って取り組めたのはよかったなと思っています。

今の自分の姿は、入学したときはなかなか想像できなかったですか?

及川:実は入学前は逆にこのような自分を想像していました。ただ入学してからそんなことはもうかき消されていましたね。入学する前はもっとやれると思っていたのですが、留学して痛感させられました。

もともと自分はセールス、マーケティングのバックグラウンドなので、顧客にもっと深い話を聞きたいし、臆さずに会話することで相手の意図していることを掴みたいし、そのための英語力が欲しいと思っています。今でもグループディスカッションには全くついていけないので歯がゆさはもちろん感じることが多いのですが、徐々に成長もしているなと思います。



業以外の活動は如何でしょうか

及川:授業以外は、自分のビジネス作りに時間を割いていました。前回インタビューに参加した共同創業者と、1週間で1回、あるいはそれ以上はピボットしたり、次のステップ確認をしたり、お互い授業がある間の時間で、着々と自分たちのビジネスを前に進めていくという感じです。
誘惑のない(?)ボストンで究める険しき起業の道!日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記 留学8か月目(タイムラインを定めて、起業準備に取り掛かる)


あとはプライベートで春休みにWBCを見に行きました。準決勝と決勝。
特に記事にしていただけるようなことは喋れないですけど、凄かったですね(笑)。マイアミもいいところですし、試合も本当いい試合でした。
誘惑のない(?)ボストンで究める険しき起業の道!日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記 留学8か月目

 
(ボストンから出て旅行に行くのは初めて、という問いに対して)

及川:初めてですね。
マイアミはすごくよくて、温かいし、人も陽気だし、お兄さん・お姉さんたちはなんかノリノリでイケイケで美人だし、開催されているWBCの試合はものすごく面白いしで、ボストンに帰ってきてからは少し鬱になっていました(笑)。

誘惑のない(?)ボストンで究める険しき起業の道!日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記 留学8か月目(隣の席で観戦していたメキシコ人たちと街でばったり遭遇)

ボストンって良くも悪くも学生の街なので、マイアミみたいにイケイケなお兄さん・お姉さんたちは全くいないですし、寒くて、太陽サンサンという感じではないので、勉強しに戻ってきたなっていう感覚です。ただ、留学先にボストンを選んでよかったとは思いましたね。実はサンディエゴの学校とも迷っていたのですが、そっちに行っていたら僕はどうなっていたんだろうと不安に思います(笑)
髪型とかドレッドヘアになっていたでしょうね。

入学前は「フィットよりメリット」という言葉を信じて、ボストンを選びました。メリットを考えたときに、ボストンにはハーバードやMITみたいな、それぞれ特徴のある学校が多くある。バブソンも今年で30年連続起業家育成ナンバーワン、タフツだったら政治系強い、ボストン大学はヘルスケア、ソーシャルインパクトとか、そういう特色のある学校が集まっており、必然とネットワーキングできる。徒歩圏内でこんなに優秀な学校が集まっているのは、世界でもボストンだけだと思っています。そのような場で学業に専念し、誘惑も少なく、ボストンを選んで本当によかったなって改めて思います。

それ以外に休みの期間の思い出はありましたか?

及川:今新しい家に住んでいるのですが、ルームメイトと過ごす時間が増えましたね。
今まで使っていたCIC(ケンブリッジにあるコワーキングスペース)が使えなくなり、その代わり家で過ごすことが多くなり、そこからルームメイトとの接点が増えました。

誘惑のない(?)ボストンで究める険しき起業の道!日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記 留学8か月目

(ホームメイトたちと野球観戦)

毎朝一緒に散歩行ったり、ヨガしたり、ラーメン食べに行ったり、夜な夜なダンスパーティー開いたりと、もちろん楽しいのですが、ストレスの発散と長期的なゴールに向かってコツコツ進めていくバランスは大事にしたいなと思います。

留学に社費などで来ていたらまた違ったかもしれませんが、自分のビジネス作りが面白いので、 他の遊びをやろうっていう気にはあまりならないですね。

ビジネスの話で前回から大きな転機はありましたか?

及川:3月半ばに前回お話したときが、アクセラレータープログラム提出のちょうどピークでした。夏休みにアクセラレーターたちがプログラムを開き、選考に通ると彼らが持っているリソース、お金や起業経験者とのコネクションやエンジニアを提供してくれて、自分たちのビジネスの進捗をより進めることができます。僕は複数個エントリーしました。
前回のインタビュー後に、それらの結果が来たのですが、全部落ちていました。もう落ちすぎて、めちゃくちゃへこんでましたね。今は復活しましたが。

5月末にもう1個アクセラレーションプログラムがあって、それが去年、僕が坊主になるきっかけになったアクセラレーションプログラムなのですが、それにもう1回挑戦するというのが現在の目標になっています。

(サービス作りの進捗は如何ですか、という問いに対して)

及川:70,80人ぐらいにカスタマーインタビューを行い、アプリの機能や方向性が固まり、MITから提供されたグラントを活用し、実際に動くアプリを作ろうと外部に委託しています。その完成を待って、アクセラレーションプログラムでピッチをするという予定です。

及川:夏休みの過ごし方ですが、ビジネスアイディアが通っていれば、アクセラレーションプログラム漬けになる予定でした。それが落ちてしまって、今はサマーインターンをしようか悩んでいます。

以前にお食事した某会社のCEOから声をかけていただいた、セールスインターンシップの話があるのですが、実はすごくいいタイミングだなと思っています。というのも、今ピッチで自分が苦手だと感じている部分を鍛える経験になりそうだなと。

ビジネスアイディアを、事業家やアクセラレーターやインベスターにピッチするときに、見られる要素の1つにチームの強みみたいなものがあります。

まずアイディアが見られて、次にニーズを解決できるプロダクトになっているよねというところが認められたら、そのプロダクトをなぜ君たちがやる必要があるのか、なぜ君たちだったらできるのかを証明してくださいという話になっていきます。そこで僕はいつも詰まってしまって。

営業とかマーケティングはやっぱり言語やカルチャーを理解してこそ発揮される部分も大きいと考えています。なので英語が喋れないと、結構セールスとかマーケティングってしんどいですし、実際ピッチでも自分たちのことをうまく売り込むことができていない。

その観点で英語でセールスをするインターシップの経験を通して、いい方向に進むのではないかと思っています。

本音は今他の事をやりたくはないですが、これはすごく良いオポチュニティだし、多分やり終わった後に良かったなと思える感覚があるので、挑戦しようかなと考えています。


そういう機会を偶然に得られたというのは、及川さんの中で自分のどういう行動がそれに繋がったと思いますか?

及川:映画じゃありませんが、イエスマンでいることは結構大事だなと思っています。

今回のCEOの方とは、誰かがいけなくなって代打を探していた食事会に僕が代わりに参加して偶然お会いしました。全然話が変わりますが、今住んでいる新しい家も、何かサイトで見つけたのではなく、偶然参加した食事会で話したら、あれよあれよという間に紹介されたという流れで。なので、とにかく機会があれば「イエス」と言って参加するという事を大切にしています。

あとは、恩師の教えなのですが、「自分の目の前に簡単な道と厳しい道があったら厳しい道を行く」ということを大切にしています。想像しうる未来を楽な道、一方で想像できない道を苦難だと考えたときに、そういう想像のつかない道を選んできた過去が、今回みたいな機会に繋がっていると思います。


 

 

学期の終わりですが、新しい話もいろいろと始まってきているようで、今後もいろいろと楽しみにしています!

次回は総集編として、及川さんの1年の軌跡を今まで書いたものを追いながら、お話できたらなと思っています。


 

如何だったでしょうか。本シリーズはこれから随時更新予定ですので、次回の記事もお楽しみに!

ご質問やご意見あれば、是非お問い合わせフォームをご活用ください!!記事が良かったらシェアをお願いします!

 

投稿者

  • Boston SEEDs運営

    Boston SEEDs は B-SEEDs LLC (Delaware, US) 運営のオンラインメディアです。”Entrepreneurship Mindset”のカルチャーを世の中に更に浸透させるべく主にボストン在住の現役の MBA 生がボランティアで活動運営しています。 Note

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