「2023年の新しいビジネストレンドとイノベーション予測を捉え、自身のビジネスに活かしたい」
今回はそんな感度の高いビジネスパーソンの皆さまに向けて、先日公開した「スタートアップ最前線―2023年ボストンの注目企業23選！（前編）」に引き続き、残りの11企業をご紹介していきます。
大好評だった昨年の記事
「スタートアップ最前線－2022年ボストンの注目企業22選！（前編）」はこちら！
「スタートアップ最前線－2022年ボストンの注目企業22選！（後編）」はこちら！
13.InStride Health（インストライド・ヘルス）
若者の間でメンタルヘルスの問題が急増している中、このスタートアップは子供や10代の若者向けに、バーチャルでのメンタルヘルス治療プログラムを立ち上げています。マクリーン病院（マサチューセッツ州の精神科病院）の臨床医であり、同社の共同設立者であるモナ・ポッター氏とキャサリン・ボーガ氏は、子供や青少年のための包括的でエビデンスに基づくケアを、より便利に利用できるバーチャルソリューションとして提供するために、InStride Health社を設立しました。同社はマサチューセッツ州外へのサービス拡大も計画しています。
14.Liberty Defense Holdings Ltd.（リバティー・ディフェンス・ホールディングス）
ウィルミントンを拠点とするLiberty Defense社は、2021年、アメリカ最大級のヒンズー教寺院やトロント・ピアソン国際空港などで「ゴーストガン（幽霊銃）｣検出器のテストを行いました。こうした銃は身元調査なしに購入できるもので、事実上追跡が不可能と言われており、アメリカでは取り締まりの対象となっています。同社の技術は、人体に反射する無線周波数を発するパネルを使用し、反射した周波数が体の3D画像を作り出すことで、金属製と非金属製の武器を検出します。CEOのビル・フレインは、この技術は2023年の第1四半期に実用化され、空港やスポーツ会場などでの新しいセキュリティ対策として展開される予定だと述べています。
15.Little Leaf Farms（リトル・リーフ・ファームス）
マサチューセッツ州・デベンズに拠点を置くLittle Leaf Farms社は、水耕栽培温室のパイオニア的存在です。同社の温室では、農薬、除草剤、殺菌剤を一切使用せず、畑で栽培するよりも水を90%カットしてレタスなどの葉野菜を栽培できます。2016年にわずか2.5エーカー（約10,000平米）の広さでオープンして以来、短期間でデベンズ拠点の大幅拡大、フィラデルフィアの北西に2つ目の温室オープンを実現しました。今年にはノースカロライナ州にも温室の着工を開始、フィラデルフィアのスペースの拡張もすでに進行中で、来春までにオープンする予定です。
16.Nix Biosensors（ニックス・バイオセンサーズ）
アスリートが同社の製品を身につける光景が、今後ますます増えると予想されます。Nix Biosensors社は、アスリートの汗を分析する使い捨てのウェアラブルパッチを製造しています。このパッチは、水分や電解質のレベルを調べることで、いつ、何を、どれだけ飲むべきかをアスリートに教えてくれます。昨年末に一般販売を開始し、すでにボストンマラソンのレースディレクターであるデイブ・マクギリブレイ氏や、パラリンピック選手のタティアナ・マクファーデン氏などによってテストされています。
Nix Biosensors社のHPより引用
17.Normunity Inc.（ノーミュニティ）
このスタートアップは、免疫・腫瘍メカニズムを解明する独自のプラットフォームを用いて、正常な免疫力を解放し癌に対抗するための医薬品を開発しています。昨年シリーズAラウンドで6500万ドルを調達し、大手製薬会社Bayerで研究開発部門のディレクター兼グローバルクリニカルリーダーを務めたレイチェル・ハンフリーCEOは、この資金で、最大2つの薬を前臨床試験にかけることができ、そのうちの1つを第1相試験にかけられる可能性があると述べています。
18.Orbital Therapeutics（オービタル・セラピティクス）
この企業は、RNAベースの医薬品の開発によって、これまで不可能だった方法でヒトの病気を治療し、世界の健康を増進することを目指しています。同社は、サイエンス系企業への投資支援をしているArch Venture Partnersや、Andreessen Horowitzのヘルスケアファンドa16z Bio + Healthなどの支援を受け、昨年立ち上げられました。 遺伝子治療やゲノム編集の研究を行っているアメリカ・マサチューセッツ州のバイオテクノロジー企業Beam Therapeutics Inc.からスピンアウトし、同社の社長兼最高科学責任者であるジュゼッペ・チャラメッラ氏が率いています。チャラメッラ氏は、かつてモデルナ社の感染症部門の最高科学責任者でもあった、この分野の権威です。Orbital Therapeutics社は今後毎年約100名の従業員を増やし、12〜18ヶ月ごとに新薬の臨床試験を行うなど、ベンチャーとして大きな計画を持っています。
19.Paragonix Technologies Inc.（パラゴニクス・テクノロージーズ）
Paragonix Technologies社は、心臓、肺、肝臓を皮切りに、数年前からドナーとレシピエントの間での臓器輸送事業を行っています。2023年の第1四半期には、腎臓搬送用の医療機器を発売する予定で、これは同社にとって最大の移植市場開拓になります。このプロダクトの発売を通して、移植可能なすべての臓器にサービスを提供することを目指しています。
20.PreVeil（プリヴェイル）
創業7年の企業で、ボストンのテックシーンで今後さらに大きな注目を浴びると予想されています。PreVei社lは、（直接、またはサードパーティや下請けとして）政府との取引に際するコンプライアンス要件を満たす必要がある企業に、暗号化サービスを提供しています。2,000万ドルのシリーズC資金調達により、同社はボストンの新しい拠点に移動し、約2倍の規模になるよう、40人の従業員を新たに雇用する予定です。
21.Rogue Space Systems Corp.（ローグ・スペース・システム）
ニューハンプシャー州を拠点とするこの会社は、宇宙空間を整理し、人工衛星やその他の「宇宙ゴミ」を安全に整備・除去するためのロボットを開発しています。最近、バージニア州のSAICと提携し、2023年に計画されているミッションに同社の軌道上ロボットを2台搭載すると発表しました。売上高と時価総額で世界最大級の航空宇宙・防衛メーカーであるRaytheon Technologies社が、本社をマサチューセッツから移転したことで、ニューイングランドに今後新たな宇宙技術企業が誕生、発展していくことになるかもしれません。
22.Seaspire（シースパイア）
このスタートアップは、タコなどの頭足類に見られる分子にヒントを得た新成分を含むスキンケア商品を開発しています。同社によれば、その成分は自然光を吸収して散乱させることができる強力な抗酸化物質で、水分補給、コラーゲン、ケラチン生成に役立つそうです。2022年、Seaspire社は300万ドルを調達し、色素沈着と肌の保湿向けに、初の消費者向け直販ラインを開発・発売開始しました。3種のスキンケアコースは2023年春に発売予定で、初めはSeaspire社のダイレクトeコマースプラットフォームを通じて発売される予定です。
23.Smile Technologies Corp（スマイル・テクノロジーズ）
女優ドリュー・バリモア氏が注目した新しい出会い系アプリSmile。ボストンカレッジの卒業生であるメリッサ・ミューレン氏が作ったSmileは、機械学習アルゴリズムを使って、ユーモアのセンスに基づくマッチングを行います。このスタートアップは2022年にアプリを発表し、バリモア氏の番組で紹介され、映画スターはアプリがどのように機能するのかとても楽しみにしていると述べていました。
今回は2023年ボストンエリアが注目したスタートアップ23社を前編と後編でご紹介しました。新たなビジネスのタネは見つかりましたでしょうか。
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