「2023年の新しいビジネストレンドとイノベーション予測を捉え、
自身のビジネスに活かしたい」
今回はそんな感度の高いビジネスパーソンの皆さまに向けて、スタートアップ・イノベーションの中心地の1つであるアメリカ・オースティンの2023年注目スタートアップを、分野を問わずダイジェスト版でご紹介していきます!
▼2022年に特集したボストンの注目スタートアップはコチラ
スタートアップ最前線-2022年ボストンの注目企業22選!(前編)
スタートアップ最前線-2022年ボストンの注目企業22選!(後編)
オースティンとは?
オースティンはアメリカ・テキサス州に位置し、アメリカを代表するハイテク産業の集積地の1つです。近年では循環型経済、エネルギー、食料・アグテック、ヘルスケア、運輸、水などの事業分野、特にクリーンテックが注目を集めている都市と言えます。
良好なビジネス環境、豊富な人材を有する優れたエコシステムは、起業家、投資家の注目を集めており、シリコンバレーやニューヨーク、ボストンに次ぐイノベーション・ハブとなっています。スタートアップの登竜門とも称される、音楽・映画・イノベーションの祭典「サウスバイ・サウスウェスト(SXSW)」が開催されることで、日本でも有名です。
▼サウスバイ・サウスウェスト(SXSW)2022について詳しくはコチラ!
(参加者がぶっちゃけ語る!SXSW2022の良かったところと次への期待!)
オースティンは、テキサス大学が運営する産学連携組織・IC²(アイシースクエア)を核としたエコシステムが整備されています。特にテキサス大学オースティン校(UT)を中心に研究者・学生が集まり、インキュベーション施設、アクセラレーターが活発な活動を行っています。また、UTはグローバル・イノベーション・ラボを開設し、起業を支援しています。こうした取り組みによって「オースティン・モデル」とも呼ばれる、大学発ベンチャーを中心とした内発的産業育成に成功し、アメリカを代表するハイテク産業の集積地となりました。別名「シリコン・ヒルズ」とも呼ばれています。
2023年オースティンの注目スタートアップ23選!
そんなオースティンにおいてもスタートアップ界隈の過去数年間は、荒れた時期でした。オースティンで2021年に記録的な熱狂を見せたベンチャー企業の資金調達は、昨年、技術者の解雇が相次ぐ中で、通常の水準に戻り始めました。
しかし、多くの創業者やベンチャーキャピタリストが語るように、最も優れた、最も回復力のあるスタートアップのいくつかは、不確実な時代、あるいは完全な不況の中で設立されています。ベンチャーキャピタルの資金が少しずつ減速し、あらゆる規模の企業が困難に直面しているとはいえ、今まさに軌道に乗りつつある企業は、今後数年間で新たなユニコーンになり得る可能性があるため非常に注目されています。
Austin Innoは、毎年「注目のスタートアップ企業リスト」を作成しています。このリストには、今後大きな飛躍を遂げると思われる地元・オースティンのスタートアップ、23社が含まれています。資金調達、製品の発売、ピッチコンテストでの優勝やアクセラレータプログラムへの参加など、多くの場合飛躍の予兆となる出来事があった企業を選定しました。
今年作成されたリストには、さまざまな分野のテクノロジーが含まれています。これらの企業は、オースティンのスタートアップエコシステムが活気に満ち、多様であり、さらに2023年に大きく成長する準備ができていることを証明しています。
1.TAU Systems
テキサス大学オースティン校の物理学准教授であり、TAU Systems Inc.の創設者兼CEOであるBjorn Manuel Hegelich氏は、粒子加速器の開発に取り組むスピンアウト企業TAU Systemsで、小規模な粒子加速器を開発しています。この加速器を使えば、科学者がタンパク質や生物学的プロセスを分析して、コロナウイルスやその他の病気と闘う日が来るかもしれません。また、核廃棄物の危険性を減らし、より優れたバッテリーやマイクロチップの開発につながるかもしれません。
テキサス大学から1500万ドルの資金を得て独立したこの会社は、2023年に最初の商業施設を設置するため、州の複数の経済開発グループと交渉してきました。そして2月2日、TAUはテキサス大学オースティン校との研究・ライセンス契約を発表しました。
2.Tiny Health
Cheryl Sew Hoy氏は過去に非営利団体を設立し、消費者向けスタートアップをWalmart Labsに売却し、マレーシアと東南アジアの起業家のスタートアップ立ち上げを支援するために作られた機関、MaGICのCEOを務めていた経験もあります。そんな彼女が2人の子供を持つことで得た教訓を活かして2020年新たに挑戦したのが、Tiny Healthの法人名であるSeeding Inc.の基盤作りでした。このスタートアップは、腸内環境のアンバランスが原因で起こる障害の予防に役立つ、家庭用のマイクロバイオーム腸内検査を保有しています。昨年11月には450万ドルの資金を調達し、検査のさらなる開発と事業拡大に役立てています。
3.Group1
ノーベル賞受賞者であるJohn Goodenough教授が注目しているのであれば、注目のスタートアップでしょう。2022年に公表され、現在テキサス大学が支援するGroup1は、カリウムイオン電池用の正極材を商品化しています。カリウムイオン電池は、リチウムイオン電池よりも電気自動車などの製品を早く充電でき、環境への影響も少ないと言われています。
このスタートアップは、共同創業者でCEOのAlexander Girau氏が率いており、彼は以前、ニューオーリンズに拠点を置くリチウムイオン電池の効率化スタートアップAdvanoも共同創業しています。共同設立者で最高科学責任者のYakov Kutsovsky氏は、以前Cabot Corp.の最高技術責任者でした。また、最高製品責任者のLeigang Xue氏は、新しいカリウム正極材を発明し、以前は、リチウムイオン電池の発明者でノーベル賞受賞者にちなんで命名された、テキサス大学のGoodenough Labでポスドク研究員をしていました。
近々新たな資金調達を発表する予定の同社は、すでにサンマルコスの本社に別のラボを開設し、米国におけるカリウムイオン電池技術の独占的な知的財産権の追加について大手企業と交渉しています。
4.Sumatra
元Apple・不正検知マネージャーのGreg Kuhlmann氏は、より多くの企業が高度なAIとリアルタイムの機械学習手法にアクセスできるようにするため、2020年にSumatraを共同設立しました。これは、企業の不正対策と、ユーザーアクティビティに基づくパーソナライズされたショッピング体験開発の両方に利用することができます。
実績も十分で、同社は2022年7月に150万ドルのシードラウンドを調達しています。2023年を迎えるにあたり、Sumatraはベータモードから抜け出し、チームを7人に増やしました。そして1月下旬には、機械学習モデルの展開をさらに迅速化するプラットフォームのアップデート版を発表しています。
5.The Chubby Diaries/Jeff Jenkins
Jeff Jenkins氏は、オースティンで最も刺激的な旅行者と言われ、プラスサイズや黒人の旅行者に、グローバルな冒険を通して自分の人生を最大限に生きるよう促すことに焦点を当てたオンラインコミュニティ「Chubby Diaries」を運営しています。彼はソーシャルメディアでも存在感を示し、Instagramでは10万人以上、TikTokでは8.3万人以上のフォロワーを獲得しています。そのなかで彼の最大のブレイクは、2022年にナショナルジオグラフィックから旅行番組のホストを務めるよう連絡があったことです。「Never Say Never with Jeff Jenkins」と名付けられたこの番組は、7月にナショナルジオグラフィックとDisney+で初放送されました。
6.Happy Health
スマートデバイスの製造と販売は、一般的に難しいビジネスとされているが、Happy Healthはユニークな製品、つまりストレスを検知して装着者のストレス軽減を助ける、メンタルヘルスを重視したハイテクリングを保有しています。2022年、 Dustin Freckleton博士とTinderの共同創業者 Sean Rad氏が共同設立した同社は、6000万ドルのシリーズA資金調達を発表し、その多くは研究開発に回され、現在市販されているスマートリングの中では最高精度とされています。現在、会員制プランの予約を受け付けています。
7.Ribbon
Ribbonは、慈善団体が予算を最大限に活用するのを支援することを目的としています。法的にはFlourish Change Inc.として知られるこのスタートアップは、2020年にシカゴを拠点とする競合企業、RoundUp Appを買収しました。2022年、CEOであるBranden Fineberg氏が率いる同社は、Trust Venturesによって主導された270万ドルの資金調達ラウンドを発表しました。Ribbonは、スポンサーの非課税地位の利点を活用して、人々や非営利団体が新しい慈善活動に取り組むのを支援する財政スポンサーシップモデルを持っています。
8.Vaask
エレベーターやトイレ、水飲み場などの近くに、手指消毒用のディスペンサーがぶら下がっているのをよく見かけるようになったのではないでしょうか。Vaaskはオースティンのスタートアップで、新しい必需品をより魅力的に、そしてハンズフリーで使えるようにしています。タッチレスタイプのこの器具は、従来のディスペンサーにありがちな液だれを解消しました。同社の製品は、Time誌の2021年のベスト・インベンションに選ばれ、そのデザインはBDNYやその他のホスピタリティ関連の展示会でも表彰されました。創業者兼CEOのJon Olsen氏は、Austin Business Journalの2022年Best CEO Awardsで、市のトップビジネスリーダーの一人としてノミネートされています。
9.Jasper
Jasper AI Inc.なら、保有する人工知能を使って、この記事をすべて書くことができたかもしれません。Jasper AI Inc.は、マーケティング、ブログ、その他さまざまな用途のコンテンツ生成にAIを活用する最前線の企業の1つです。その成長は目覚ましく、創業から約2年、Jasperは約1億3,000万ドルの資金を獲得し、昨年10月には投資家から15億ドルの評価額を付けられました。この企業は、オースティンで最も新しいユニコーンの1つであり、史上最速でこれほどまでに高い評価額を達成した企業の1つです。
10.Grazzy
最近「お手伝い募集」の看板を見かけるようになりました。求人があふれる世の中で、特にホテルやレストラン、バーなどでは、従業員の確保が最重要課題となっています。Grazzyはオースティンのスタートアップで、そのような時間給従業員のために、デジタルチップやチップの即時払い、その他の銀行ソリューションを可能にする決済プラットフォームを開発しました。同社は、車両管理会社Dealerwareの創業者であったCEOのRussell Lemmer氏が率いる企業で、2022年に680万ドルの資金調達を行ったことを明らかにしています。このフィンテックはすでにいくつかのホテルで使用されており、全国展開に向けて大手ブランドとパイロット契約を結んでいるところです。
11.Anode Labs
Web3への大きな流れが生じている昨今、オースティンのAnode Labs Inc.は、消費者が持つ、ソーラーパネルなどの再生可能な電力と、エネルギー貯蔵資産をつなぐコミュニティネットワークを作ることで、この流れの最前線に位置することを目指しています。リアクト・ネットワークの仮想発電所は、家庭用バッテリーを持つ消費者が、エネルギー貢献に対して「KWH」トークンとともに報酬を得られるように、完全な電力網をサポートすることを目的としています。昨年、Jason Badeaux、Dallas Griffin、Evan Caronが共同で設立したこのスタートアップは、ニューヨークのLerer Hippeau社が共同出資した420万ドルの第1ラウンドを調達しました。
今回は、2023年に注目の「オースティン発スタートアップ23選(前編)」として11社をご紹介しました。後編記事も後日公開予定ですので、そちらもぜひチェックしてみてください!
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引用:
STARTUPS TO WATCH These 23 Austin area startups are poised to have a breakout year in 2023
ジェトロ・グローバル・アクセラレーション・ハブ オースティン
良好なビジネス環境、豊富な人材が生む米テキサスのスタートアップ・エコシステム
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