引用:CIC東京 HP
日本政府は2022年を「スタートアップ創出元年」と定め、今後スタートアップ10万社創出、ユニコーン企業100社創出などを視野にいれた5カ年計画を発表しました。ドラマの題材や身近なニュースなどでも目にすることが多くなった「スタートアップ」という存在。
2018年には、CIC東京がオープンし、話題になりました。
虎ノ門に誕生したこの施設は、日本最大級の都市型イノベーションセンターで、合計200社を超えるスタートアップを集積させると同時に、成長に必要な投資家、大企業、アカデミア、行政機関といったさまざまなプレイヤーが出会う機会を提供します。岸田総理や小池都知事も訪れたこのイノベーションハブは、イノベーターの出会いを促進することで、東京の都市競争力のエンジンになることを目指しています。
CIC東京を中心に、日本のスタートアップが盛り上がりを見せる昨今。
そこで今回は、ボストンのオンラインメディアBostInnoが、CICのCEO・ティム・ロウ氏に行ったインタビューをご紹介します!
引用:BostInno「Tim Rowe, co-founder and CEO of CIC, talks latest expansions」
ティム・ロウは20年以上前にケンブリッジ・イノベーション・センター(CIC)を共同設立し、起業家の友人たちが楽しく、協力的な環境でベンチャー企業を立ち上げることができる場所を作りました。
CICは友人グループの枠を超えて急速に成長し、数社しか収容できなかったのが、現在では世界中に数千もの企業を収容するようになりました。CICは「起業家の、起業家による、起業家のためのスペース」だとロウは語ります。
現在、CICは世界中に合計100万平方フィート以上の共有ワークスペース、ウェットラボ、イベントスペースを保有しています。CICはボストン、ケンブリッジ、フィラデルフィア、プロビデンス、セントルイス、そしてオランダのロッテルダムで活動し、最近では、日本の東京とポーランドのワルシャワにキャンパスを開設しました。全世界で約2,200社のクライアントを抱えているといいます。
ロウは最近BostInnoのインタビューに応じ、パンデミック時の新しいワークスペースの開設、次のイノベーション・キャンパスの場所の選び方などについて語りました。
今回はそのインタビューを一部編集・抜粋してお届けします!
CICは、WeWorkやWorkbarのような他のコワーキングスペースとどう違うのですか?
最近、東京のCICである起業家が私のところにやってきて、「この場所が私の人生を変えたということを知っておいてほしい 」と言ってきたんです。私が「どんなふうに?」と尋ねると、彼女は「ここで仲間を見つけた」と言いました。オフィスを借りているだけのところでは、あまりそういう話は聞きませんね。
私たちは、スタッフの配置や運営方法も違います。CICでは、ベンチャーカフェと呼ばれる起業家の集まりをセッティングするだけの、巨大なチームを持っています。これは他のところでは全くやっていない取り組みだと思います。コロナパンデミックの直前には、毎年オースティンで開催されるイベント「South by Southwest」の参加者よりも、私たちの拠点全体でのベンチャーカフェに来る人の方が多いという状態にまでなりました。
(CIC Cambridgeのベンチャーカフェの様子) 引用:CIC HP
CICは、パンデミック時に東京とワルシャワに新拠点を開設しました。どのような形で開設されたのでしょうか?
どちらもパンデミックの時にオープンしました。コロナショックは明らかに私たちが予測できたことではなく、間違いなく不動産をオープンするには最悪のタイミングでした。パンデミックの最中には、オフィスに入ることすら法律で禁止されていた場所もありましたし、日本の場合は、国境が閉鎖されていました。さらに、CIC東京の従業員の半分は、海外から日本にやってきて、日本で新しいビジネスを立ち上げるメンバーだろうと思っていました。しかし、それは大きな間違いでした。
(CIC Cambridge Japan Desk ) 引用:CIC HP
コロナウイルスが大流行した後、人々が再び集まり始めていますが、CICにとってその反動はどのようなものだったのでしょうか?
東京もワルシャワも現在90%以上埋まっていて、どちらの場所でも、そのスペースを2倍にするために大家さんと積極的に動いています。
新しいキャンパスをどこに開設するかは、どのように決めているのですか?
少し前に分析したところ、イノベーションが盛んな都市は世界に50程度あることがわかりました。そういった都市には、MITのような大学、多くのスタートアップ、ベンチャーキャピタル、興味深い基礎研究を行っている大企業などがあります。
まず最初の切り札として、この50の都市にそれぞれ1つずつ、イノベーション・キャンパスを作りたいと考えています。
CICは、すでにアメリカ、ヨーロッパ、アジアにキャンパスがあります。この先、どのような場所に展開する予定ですか?
実は、アフリカのカーボベルデの首相との会合が決まっています。アフリカの国をイノベーションでどう変えていくかという話をする予定です。
もしそれが実現すれば、カーボベルデにイノベーション・キャンパスを作るのも面白いだろうと考えています。
(CICのデザインスタジオはカーボベルデにあり、ロウによれば、東京オフィスの設計はカーボベルデの建築家によるものだといいます。)
CICのキャンパスが地域社会でどのような役割を果たすことを期待していますか?
イノベーション・キャンパスは、うまくいけば、その都市のイノベーション・コミュニティの中心的な存在になります。
例えば、日本では、日本の首相がCIC東京にやってきて、日本をスタートアップ国家にするための5カ年計画を発表しました。首相が発表の場所としてCICを選んでくれたことは、CICが日本のイノベーション・コミュニティの中心であると認識されるような場所になったということです。それが私たちの目標です。
今回は、CICとその今後の可能性についてご紹介しました。如何だったでしょうか?
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引用:
BostInno「Tim Rowe, co-founder and CEO of CIC, talks latest expansions」
CIC東京「CIC Tokyoにて、東京都が「新スタートアップ戦略」を発表」
CIC東京「岸田内閣総理大臣がCIC Tokyoを訪問し、スタートアップ創出元年にあたりスタートアップとの意見交換を実施」
HIP「虎ノ門から世界へ。スタートアップ集積拠点CIC Tokyo」
CIC 「Coworking, Flexible Office and Lab Spaces for Innovators | CIC」
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