写真:及川さん(右から2番目)とビジネスパートナー(右下)
前回インタビューさせていただいてちょうど1ヶ月前経ちました。まずはざっくり、この1ヶ月間の印象をお聞きしたいです。
エキサイティングな日々を送っています。刺激的な日々の中、常に楽しいこともあるし、つらいこともあるし、しんどいこともあるしという感じで、感情の起伏が毎日すごく激しくて。もちろん疲れもあったんですけど、この1ヶ月間でかなり成長したなっていう実感を得ました。
具体的にどんな時に、エキサイティングだな、刺激的だなと感じたのですか?
もう毎日毎時間毎分エキサイティングなんですけど、やっぱり僕は日本人として30年近く育ってきたので、何を考えるときでも全部日本語なんですよね。声に出さなくても「トイレ行こうかな」や「あれやらなきゃ」と考えるのは全て日本語なんですけど、アウトプットはもちろん英語で求められますし、いざ英語で会話が始まると、日本語で思考していると間に合わないので英語で思考しないといけない。この日本語と英語の切り替えが常に行われていて、頭が休まる暇がないので、落ち着いて考えたり、没頭したりする瞬間がないという意味でエキサイティングでした。
あとハラハラドキドキもすごくあります。例えば道を尋ねるとか、「次の授業なんだっけ」や「宿題これで合っているかな」をその都度、伝わるように話せているかを気にしながら発言しないといけないので、日本にいたときには考えなくてよかったようなことを常にずっと考えてなければならないのが大変です。
エキサイティングでありつつ大変だと思うのですが、行動やマインドセットに変化はありましたか?
この1ヶ月間で、マインドセットは大きく変わりました。最初は英語が喋れないことに対するフラストレーションもあったので、「英語をもっと聞けるようにならないかな」とか「英語をもっとうまく話せるようにならなきゃ」というところにがんじがらめになっていました。
本当にこの1週間ぐらいで大きく変わったんですけど、ただ英語をうまく喋ることよりも、コミュニケーションをとることの方が大事だということに気づきました。変な話、英語を喋らなくても、ボディーランゲージだけでもいいし、日本語で話してもいい。どんな方法でもいいので、喜怒哀楽や、自分が意見に同意しないことを伝えないといけないと考えました。英語をうまく喋れなくてもいいから、とにかく自分がここにいる存在意義をMAXに発揮するために、自分の感情をどんな形でもいいから伝えなければならないと思うようになりました。
英語をうまく話そうっていうことから、とにかくコミュニケーションをとってアウトプットしていく方向に意識が変わりました。
このマインドセットが変わったきっかけを教えてください!
そもそも“英語をうまく喋らないといけない”のしがらみに取り憑かれたのは、1回当たりの授業料を計算したときでした(笑)
学費や生活費など留学にかかるコストを授業のコマ数で割ったら、1回の授業が5万円という計算になりました。アホみたいに高いので、とにかく授業で得られるものを増やさなきゃいけない、そのためには英語が聞けないと教授が何を言っているかわからないので、とにかく英語力をあげなきゃいけないと考えていました。
ここから英語へのしがらみに取り憑かれたんですけど、実際にクラスが進行していくにつれて、教授が言っていることをノートにとるような日本形式の授業ではなく(日本でもノートをとったことはないダメ学生でしたが)、チームでディスカッショやプレゼンテーションをする機会がどんどん増えてきました。ディスカッションやプレゼンテーションなどチームでのワークの中で、自分の意見が混じっていないものを出してしまうと、それに対する教授のフィードバックが自分の成長に繋がらないんです。成績はついたとしても、自分がアウトプットしてないから、僕の考えの良い点・悪い点について教授からフィードバックを全くもらえないことに気づきました。1回の授業に5万円もかけて教授からフィードバックをもらいに行っているはずが、それが僕の考えに対するフィードバックではないので、授業料を無駄にしていることになる。チームでのディスカッションに自分の意見を入れないとMBAに来ている意味がないということに最近気づき、マインドセットが変わりました。
グループディスカッションってフラストレーションが溜まるんですよね。そのフラストレーションを発散できないとずっと引きずるので、英語をうまく喋れなくてもいいから怒れるようにしたいとか、とりあえずNOと言えるようになりたいとか、自分の意見を何分かかってもいいから伝え切りたいみたいなのが、その怒りの感情の先に生まれました。
どんなフラストレーションがあったのですか?
僕今29歳なので、社会人としてのキャリアを7年か8年ぐらいやっているんですよ。他の子たちってもうちょっと短くて、5年くらいのキャリアでバブソンのMBAプログラムに来ます。キャリアの歴に差があったとしても、英語がすごくうまいから、その人たちの意見を中心に議論が進んでいくんです。
それがすごいフラストレーションです。日本語でやってくれたらもっと意見を反映できるのに、それをできてない自分へのフラストレーションもありますし、もっとこのキャリアが長い俺を頼れよ、というチームメイトに対する不満もあります。
9月の始まりのときは、みんなで平等に意見を入れる機会を作ろうと言っていたのに、偏っているじゃないかみたいな怒りもあるし、自分の存在価値がやっぱりどんどん小さく薄まっていくことに対しての、自分へのふがいなさと自由奔放なチームメイトへのフラストレーションもあるし、それを抑制できない自分へのフラストレーションもあります。
英語の話からMBAの話に戻るのですが、2ヶ月目はどんなカリキュラムでしたか?
主に授業が四つあります。具体的には、ストラテジー、マネジメント、アカウンティング、起業家育成のマインドセットの4つの授業です。アカウンティングは日本の簿記と全く同じ授業だと思います。僕はバブソン大学に来る前に簿記3級をちょっと勉強していて、その内容とほとんど同じなので、かなりその時の知識が生かせていると思います。ただ、バブソンで扱うアカウンティングは、起業家目線の会計の授業になっているなと思います。起業した1年目の財政状況の分析をしましょうとか、1年目から2年目に移るときにどういう会計方法を使ったら会社の状況がよく見せられますか、それはまた投資家にとって良いことですか悪いことですかみたいな感じで。大企業のファイナンスにフォーカスするよりは、創業期から成長していくフェーズの会計にフォーカスして扱っている印象です。こういうところがいかにもバブソンらしいと思いますし、世界で1番起業家育成に力を入れていると言っているだけはあるなと感じました。
ストラテジーの授業は、事業戦略を練るためのビジネスのフレームワークを学ぶ授業です。顧客にどういう価値を提供している会社が強いかとか、市場の中でどういうポジションを取っているかとか、あとは競争力の激しい業界の特徴はこういうものがあるから新しくビジネス参入するときはこういう分析しましょう、みたいなことをやっています。
マネジメントは、日本でキャリアを積んでいると授業の内容が少し薄く感じるかもしれないんですけど、自分はどういうパーソナリティかを分析したり、そのパーソナリティの人はどういうマネジメントスタイルを目指すべきだとか、逆にどういうマネジメントは向かないのか、とかを学んでいます。良い点としては、海外MBAならではだと思うんですけど、バブソン自体がクラスの中のダイバーシティをかなり確保している学校なので、その国による価値観の違いをディスカッションする機会があって、特にLGBTQとかそういったことも含めて、ダイバーシティを感じることが多いです。
アントレプレナーシップの授業では、ビジネスマインドとして何が一番大事かといった話だったり、ニーズの見つけ方やそれをサービスに反映する方法、反映させたニーズを検証するためのプロトタイプの作り方、プロトタイプからフィードバックを得てビジネスに反映するにはどうすればいいのか、みたいな授業を受けています。すなわち、起業するにあたって必要なマインドセットと、どうやってサービスを構築するか、そのサービスをどうやって大きくしていくか、みたいなことを学ぶ授業です。
もう一つ、非常にユニークなのが、知識のインプットがメインの4つの授業に加えて、授業での学びを定着させるためのアウトプットする場として、BETA-Xというプロジェクトが4つの授業と同時に進行しています。BETA-Xでは、P&Gに対して新しい商品・サービスを提供する為に、4人のチームで取り組んでいます。アントレプレナーシップの授業で学んだニーズの見つけ方、アカウンティングで学んだ自分たちの財務状況を良く見せる方法、マネジメントで学んだ違う国籍の人たちの管理のやり方、ストラテジーの授業で学んだフレームワークをアウトプットする場所としてBETA-Xっていうプロジェクトを進めています。
この1ヶ月の授業の進み方はこんな感じでした。
写真:チームメイトとのオンライン会議の様子
授業4つの予習・復習をしつつ、BETA-Xに取り組む必要があると思うのですが、1日をどう過ごしていますか?
授業が始まって二、三週間ぐらいは、どれくらい予習すればいいか全くわからなかったので、予定がパツパツでした。月曜日から金曜日まで毎日朝8時半から12時が授業で、授業が終わってからランチを食べて、その後1時間半ぐらい昼寝します。そして、15時から20時ぐらいまで復習もしくは予習をして、夕飯を食べます。21時ぐらいから予習と復習をやって夜中の2時ぐらいに寝ます。朝は8時半の授業に間に合わないといけないので、6時ぐらいに起きて昨日予習したことの復習をやって、授業に行ってまたご飯食べて、昼寝して、予習して復習して、を繰り返していました。その時の睡眠時間は昼寝を合わせて大体5時間ぐらいでした。ただ、今は段々慣れてきて、予習は大体これぐらいしていけばいいな、みたいなのをつかみ始めたので、今は1日3時間ぐらいしか予習してないです(笑)
▼学期初めのスケジュール
8:30-12:00 | 授業 |
12:00-15:00 | ランチ・昼寝 |
15:00-20:00 | 予習・復習 |
20:00-21:00 | 夕飯 |
21:00-02:00 | 予習・復習 |
02:00-06:00 | 睡眠 |
6:00-8:30 | 前日予習したことの確認 |
土日のスケジュールはどんな感じでしたか?
土日は大体BETA-Xのチームミーティングがあります。他の学生は朝が遅いので、15時から2時間やって、終わらなければ夜もちょっとミーティングしようか、みたいな感じです。土日はまだ自分の何かアクティビティをする時間もあります。
授業についていくことを含めて大変という話があったんですけど、実際今MBAの授業以外にも何かご自身で課外活動とかされたりしていますか
僕の場合は卒業後に起業家になりたいっていうマインドセットで今回バブソン大学に入学したので、ビジネスアイディアを膨らますことをやっています。実際に9月の頭にマサチューセッツ工科大学(MIT)にビジネスアイディアを最大で2500ドルの資金を提供してもらえるコンテストに参加しました。そしてつい先日、2つのアイディアに対して2000ドル出しますよという形でオファーが来たので、今はそのビジネスアイディアを膨らますためにプロトタイプを作ったり、どうやってお金を有効的に使ってホームページを作れるか考えたり、自分のビジネスアイディアを実際に形にして世に送り出すための活動をしています。これがメインの課外活動になっています。
学校でクラブ活動とか入っているのですか
1週間前ぐらいにバブソンのクラブを紹介するイベントが開催されたのですが、Babson Acceleration Club(バブソン・アクセラレーション・クラブ)という、バブソンの日本人の方が歴代受け継いでいるアクセラレーションのクラブがあるのでアプライしました。また、学生時代にやっていたテニスクラブにもアプライしました。ただ、どちらのクラブも、まだ実際の活動は始まっていません。
授業も慣れてきて、課外活動も増えてきているお話を伺ったのですが、今の充実度を10点満点評価するなら今何点つけますか。
今6、7ぐらいの充実度だと思います。足りない3、4点は、人とのかかわりが少ないことです。自分1人でする活動することがまだ多いので、もっと人とかかわった生活をしたほうが刺激的かなと考えています。自分1人のアクティビティに加えて、他人とのミーティングや誰かとどこかへ行く時間をもっと増やせたらいいなと考えています。
それを踏まえて次のインタビューまでの何か目標みたいなのってあったりするんですか。
来月の目標は3つありますね。1つ目は、直近あるアカウンティングの試験に向けて勉強を頑張らなきゃいけないです。2つ目は、先ほど言ったMITに提出したビジネスアイディアのプロトタイプを12月までに完成させることを目論んでいるので、ビジネスをかなり完成形に近いところまで仕上げていきたいっていうがあります。3つ目は、BETA-Xのプロジェクトの中間のプレゼンテーションが10月末にあるので、それの準備をすることですね。
充実度のところで話されていた、他人との関わりを増やすために、やってみたい取組はありますか?
MBAの授業と自分のビジネスの2つの軸の中で、人とのかかわりを増やしていく予定です。具体的には、ビジネスを大きくする過程でどのようなニーズがあるのかっていうのを掴んでいきたいので、実際に自分のターゲットになるような顧客とのミーティングや、自分のビジネスに対してアドバイスをくれるような教授やMBAの先輩とのミーティングを増やしていきたいなと思っています。基本的には、今あるBETA-Xを頑張ることと、自分のビジネスを実際に形あるものにするという軸の中で、人と絡むようなことをどんどん増やしていきたいなと思っています。
如何だったでしょうか。本シリーズはこれから随時更新予定ですので、次回の記事もお楽しみに!前回の記事「TOEIC250点!? 日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記 留学1か月目」が気になる方は、こちらから!
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