皆さんは、2001年から2004年まで放送されていたテレビ番組、「¥マネーの虎」をご存知でしょうか?この番組では、ビジネスプランを持った起業家がプレゼンをし、それに対して投資家が身銭を切って投資するかどうかを決定します。
最近では「令和の虎」としてYouTubeで復活し、再び注目を集めているビジネスリアリティ番組ですが、アメリカにも同様の形式で行われている「Shark Tank(シャーク・タンク)」と呼ばれる番組があり、人気を博しています。
そこで今回は、アメリカ版「¥マネーの虎」である、「Shark tank」に出演した、ボストン発のビジネスにはどのようなものがあるのか、そして、番組出演後にどのようにスケールアップしていったのかご紹介します!
Behave Bras社 (2022年放送)
Behave Bras社(ビーハブ・ブラス社)の設立者カスヴィキス氏は、番組出演者の投資家ケビン・オリアリー氏との契約を獲得して以来、ビジネスが好調だと言います。
彼女は昨年3月に放送された「Shark Tank」に出演し、DDカップ以上の女性を対象とした特許取得済みのブラジャーを売り込みました。アメリカ・マサチューセッツ州を拠点とするこの起業家は、各カップの内側に伸縮性のある生地を入れることで、立っているときは胸を支え、横になっているときは固定されるようにしたのです。
2021年9月に「Shark Tank」のエピソードが撮影されたとき、Behave Bras社は18カ月間で11万ドル(約1,470万円、1月現在)を売り上げ、ブラジャーの利益率は87%でした。ブラジャーは1つあたり75ドルです。カスヴィキス氏はオリアリー氏が提示した、番組の20%の株式で15万ドル(約2,000万円、1月現在)を受け入れたものの、まだ取引条件は確定していないそうです。
カスヴィキス氏は、「Shark Tank」で放映されて以来、投資と収益が増加し、同社は成長することができたと述べています。このスタートアップは、2つの新製品ラインを開発中で、2023年中の発売を予定しています。Behave Bras社は、3人の新入社員と2人のアルバイトを雇用し、今年はさらに2人のフルタイム社員を雇用する予定です。
「2023年には、私たちのウェブサイトbehavebras.comだけで販売するのではなく、新たな販売網を持つ大規模な小売業者と交渉中です」とカスヴィキス氏は述べています。
HelloPrenu社 (2021年放送)
アメリカ、ボストンの家族法弁護士であるジュリア・ロジャース氏は、2020年に、カップルが早く、安く婚前契約を作成するためのオンラインプラットフォームとしてHelloPrenup社(ハロー・プレナップ社)を立ち上げました。技術的な共同創業者であるサラベス・ジャッフェ氏を迎え入れた後、2人は「Shark Tank」に出演し、2人の投資家との取引を成立させました。
当時、HelloPrenup社が作成した婚前契約書の利用件数は、わずか25件ほどでした。しかし、ゲスト投資家のニラブ・トリア氏(Nextdoor社の共同創業者)は同社のビジョンに共感し、15万ドルを提示して30%の出資を決めました。また、ケビン・オリアリー氏も、最終的にこの取引に参加しました。ロジャース氏は、具体的な内容については明かしていませんが、「Shark Tank」に出演して以来、取引内容が変わったと語っています。
ロジャース氏によると、HelloPrenup社は3,000件以上の婚前契約を作成したといいます。同社は現在、32の州でサービスを提供しており、顧客の大半は30代前半のミレニアル世代だそうです。
夏には、LegalZoom社の創業者であるブライアン・リウ氏が、投資家兼アドバイザーとしてHelloPrenup社に参加しました。さらに、同社はチームも拡大しており、正社員を5人増やし、8人体制にしました。
The Matte社 (2021年放送)
ボストン郊外に位置するアクトンの起業家メリッサ・クレイトン氏は、「Shark Tank」に出演し、「The Matte」と呼ばれる折りたたみ式シンクカバーへの出資者を獲得しました。このカバーは、トイレのスペースが限られている人やいつも旅行している人にとって「必需品」だと彼女は述べています。
同社のHPから引用
クレイトン氏は、「Shark Tank」出演前の30日間に2万ドル(約265万円、1月現在)、発売から3年間で20万ドル(約2650万円、1月現在)を売り上げました。
クレイトン氏は最終的に、番組出演者の投資家ローリ・グライナー氏からの10万ドル(約1320万円、1月現在)・33.3%の出資の申し出を受け入れました。
彼女はここ数カ月、SNS上では「The Matte」の事業についてほとんど口を閉ざしているように見え、彼女はコメントを求める声に応じていませんでした。しかし、彼女の別事業である「Tiny Tags」が話題を呼んでいます。母親向けのカスタム・ジュエリーの店で、メリル・ストリープ氏、オリビア・カルポ氏、ホダ・コトブ氏といった有名人がこの店のジュエリーを身に着けています。「Tiny Tags」も最近、Inc. 誌の「最も急成長している民間企業5,000社」に選ばれました。
DetraPel社 (2018年放送)
撥水・防汚加工スプレーを販売するDetraPel社(デトラペル社)は、「Shark Tank」への出演をきっかけに、番組出演者の投資家マーク・キューバン氏の支援を受けたスタートアップになりました。同社は、バブソン大学の学部生だったデヴィッド・ザマリン氏が創業しました。
同社のHPから引用
同社によると、放送後最初の10時間でウェブサイトの売り上げが約6000ドル(約79万円、1月現在)増加したといいます。
その後、DetraPel社の製品はAmazonやWalmartなどを通じてオンラインで購入できるようになり、テレビショッピング番組のQVCやGood Morning Americaでも紹介されました。コロナが流行している間、DetraPel社はアメリカ、マサチューセッツ州にある製造施設を使って、ヘルスケア関連のコーティング剤を製造していました。2022年の初めには、紙、食品包装、繊維のコーティングに焦点を当てた産業用ブランド「DetraPel Industrial」も立ち上げました。
同社は、700万ドル(約9.3億円、1月現在)の新たなシリーズA資金調達ラウンドを経て、2023年に成長を加速させる計画だそうです。
Alice’s Table社 (2018年放送)
このスタートアップは、フラワーアレンジメントを中心に新しいスキルを学ぶことで、女性たちを結びつけるオンラインプラットフォームとして2015年に立ち上げられました。Alice’s Table社(アリスズ・テーブル社)のCEO兼創業者のアリス・ロシター・ルイス氏は、番組出演者の投資家マーク・キューバン氏とローリ・グライナー氏から25万ドル(約3300万円、1月現在)・10%の取引を獲得しました。
LinkedInのメッセージでロシター・ルイス氏は、同社が花と食品ギフトの小売・販売会社である1-800-Flowers.com Inc.社によって買収されたことを明らかにしました。
Lovepop社 (2015年放送)
このスタートアップは、「Shark Tank」から登場したボストンの企業の中で最も有名な企業の1つです。この3Dポップアップ・グリーティングカードのメーカーは、最初の1年半で30万ドル(約3,970万円、1月現在)の収益をあげて番組に登場しました。番組出演者の投資家ケビン・オリアリー氏は、このカード会社が、彼のウェディング業界への投資とうまくかみ合うことに気づき、大きな利益になると考えました。彼とLovepop社(ラブポップ社)は、同社の15%の株式を30万ドル(約3,970万円、1月現在)で取得する取引に合意しました。
同社のHPから引用
2016年、Lovepop社は600万ドルのシリーズAラウンドを発表しました。2018年には、Wayfair社のCEO兼共同創業者のニラジ・シャー氏、Crashlytics社の創業者ウェイン・チャン氏、DraftKings社のCEO兼共同創業者のジェイソン・ロビンス氏、Bain Capital社のボブ・ホワイト氏などからさらに資金調達を行いました。
また、花束や文房具、オーナメントを販売するなど、グリーティングカード以外の分野にも進出しています。
今回は、アメリカのビジネスリアリティショーの「Shark Tank」に参加したボストン発のスタートアップ企業についてご紹介しました。如何だったでしょうか?本サイトではボストンで話題のニュースをご紹介しています。ご質問やご意見あれば、是非お問い合わせフォームをご活用ください!!記事が良かったらシェアをお願いします!
投稿者
-
Boston SEEDs は B-SEEDs LLC (Delaware, US) 運営のオンラインメディアです。”Entrepreneurship Mindset”のカルチャーを世の中に更に浸透させるべく主にボストン在住の現役の MBA 生がボランティアで活動運営しています。 Note