Moshion社を設立したハンナ・オー氏、ジョナサン・ツォー氏、エカテリーナ・ティシチェンコ氏
(引用:BOSTINNO「MIT students raising funds for pressure ulcer prevention startup」)
日々の生活の中で、不便だと思うことや、改善すべきだと感じることがあると思います。その解決に向けて取り組むことは、ビジネスチャンスにつながる可能性がありますが、その一歩を踏み出すことに躊躇することも多いのではないでしょうか。
そこで今回は、アメリカ・ボストンの名門校マサチューセッツ工科大学(MIT)に在籍し、介護業界にイノベーションをもたらそうと奮闘している学生起業家の取組を紹介します。個人的な経験から課題を発見し、その解決に向けて挑戦する姿勢は、介護業界に限らず全てのビジネスにおいて参考になると思います。
MITのデザインプログラムであるIntegrated Design & Management(IDM)に在籍するエカテリーナ・ティシチェンコ氏、ハンナ・オー氏、ジョナサン・ツォー氏の3名は、高齢者や麻痺のある人、移動に不自由のある人の床ずれを予防することを使命としています。彼らは2021年夏に医療技術企業Moshion社を設立し、患者の身体にかかる圧力と動きを監視する試作品を開発しました。
彼らがこの分野に挑戦し始めた時は、技術系の人たちがこの分野でイノベーションを起こしたり、働いていることはとても珍しく、介護業界で働く方々も30年、40年も技術革新を見たことがない状況でした。
そんな中、ティシチェンコ氏は、床ずれの危険性を身近に感じ、この分野に飛び込むことを決意しました。彼女の祖父は70代で下半身不随になり、床ずれが化膿したことが原因で亡くなったのです。また、介護施設の医師である母親からも、床ずれによる感染症は、最も多い問題の一つだと聞かされていました。
Moshion社は、介護施設と相談しながら、職員に通知するシステムを開発中です。同社のチームは、床ずれによる炎症とその結果生じる傷のメカニズムを理解するために、約100人の医師や形成外科医と話しました
ティシチェンコ氏曰く、2時間でも同じ体勢になっていると床ずれができるとのことです。尾骨(尾てい骨)が椅子やベッドに押し付けられるなど、体の一部が圧迫されることで、この部分に酸素や栄養が流れなくなります。床ずれによってできた炎症を治療しなければ、傷が開いたり水ぶくれになる可能性があります。
Moshion社が開発した最初の製品は、圧力の上昇を追跡するセンサーが埋め込まれた布のような素材です。この布は、ベッドや車いすなどの表面に貼ることができます。センサーは、圧力、動作、姿勢を長期にわたって追跡し、特定の場所に圧力がかかると、介護者に警告を発します。
このデバイスは、介護者がリアルタイムで患者の体位変換を管理するのに役立ち、特定の人がどれくらいの頻度で動く必要があるかという長期的なデータも得ることができます。最も重要なことは、介護者が実際に介護を必要とする人を確認し、その人がいつ体位を変えたかを追跡するのに役立つということです。
Moshion社は、この夏にはMITの学生向けの起業家プログラムであるMIT delta v acceleratorに参加する予定です。また、同社は現在資金調達中で、200万ドル(約2億7000万円、2022年6月現在)の調達を目指しています。
ティシチェンコ氏はBOSTINNOの取材に対し、MIT卒業後の生活について、「快適で、みんなが応援してくれる優しい世界から、未知の世界へ踏み出さなければならないのは、とても怖いことです。でも、このプロジェクトがどうなっていくのか、どう進化していくのか、楽しみです。」と語りました。
彼らのように、挑戦への不安を感じつつも、それを楽しむ姿勢がイノベーションをおこす1つの秘訣なのかもしれません。
今回は、テクノロジーによって介護業界の変革に努めるMITの学生起業家について紹介しました。如何だったでしょうか?本サイトではボストンで話題のニュースをご紹介しています。ご質問やご意見あれば、是非お問い合わせフォームをご活用ください!!記事が良かったらシェアをお願いします!
引用:BOSTINNO「MIT students raising funds for pressure ulcer prevention startup
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