2021年、日本では、ベンチャーキャピタルから過去最高額の投資が集まるなど、スタートアップ界隈は非常に盛り上がりを見せました。
例えばその中でも、
ニュースアプリを運営するスマートニュース
ネット印刷サービスなど複数事業を手掛けるラクスル
国内製造業の「調達」領域でイノベーションを起こすキャディ
医療のDXで命を助けるユビー
産業用ロボットを手掛けるMujin
AIを用いた学習システムを提供するエドテックカンパニーのアタマプラス
宇宙ゴミの問題に世界で初めて取り組むアストロスケール
都心を中心にサラダチェーン「クリスプ・サラダワークス」を展開し外食産業を変えるデータ経営を行なっているクリスプ
などは2021年に急成長した8社の注目スタートアップです。
しかしそれ以上に、コロナウイルスが猛威を振るった中ではあったものの、アメリカ・ボストンのイノベーションは止まることはありませんでした。
地元ビジネスジャーナル・BostInnoは、昨年最も影響を与えたボストンのイノベーター50社をリストアップしました。この50社は、ボストンのイノベーション・コミュニティから推薦を募り、BostInno独自の調査後に選ばれたメンバーです。その後、投資家、イノベーター、BostInnoチームメンバーなどを含む、ボストンのスタートアップエコシステムの審査員によって、50社の中から8社が、2021年に特に目覚ましい活躍を見せたとして、”Inno Blazers”の受賞者に選ばれました。
受賞者に共通しているのは、新しい投資資金の調達、製品の発売やアップデート、革新的なビジネス等によって、飛躍の年を迎えたということです。昨年1年間で大きく躍進し、今回“Inno Blazers”を受賞したスタートアップ企業全8社を、部門ごとに紹介します!2021年、最もイノベーションが評価された企業は以下の通りです。
アパレル/コンシューマープロダクツ部門
Flare(フレア)
フレア社はアプリベースのコミュニケーションシステムを搭載した、スマートブレスレットを開発しています。ブレスレットについているボタンで作動する防犯システム「Flare」は、位置情報の発信や緊急電話機能で、利用者の安全を保証します。審査員の目を引いたのは、製品に関するユニークなコンセプトと、将来的には自社を廃業に追い込むというミッションでした。つまり、自社製品が必要とされなくなるような安全な社会の実現に取り組むという理念を抱えているのです。加えて、55倍という同社の高い成長率も、受賞の決め手となりました。
クリーン&グリーンテック部門
Electric Hydrogen(エレクトリック・ハイドロジェン)
エレクトリック・ハイドロジェン社は、クリーンで豊富な水素を低コストで供給できる、新世代の電解槽技術を開発しています。エネルギーや気候変動に関するイノベーションが活況を呈するボストンにおいて、目立つ存在になるのは難しいことですが、同社の資金調達、成長率、野心的なビジョンが受賞の決め手となりました。ビル・ゲイツ氏の出資を受けたこの会社が今年何をしようとしているのか、注目を集めています。
サイバーセキュリティ部門
Black Kite(ブラック・カイト)
ブラック・カイト社は、技術、財務、コンプライアンスという3つの重要な側面から、サプライチェーンのサイバーセキュリティを分析するプラットフォームを提供しています。近年、パンデミックの影響を受けて、サプライチェーンのサイバーセキュリティ問題がより注目されるようになりました。同社はこうした時代の流れに後押しされる形で勢いに乗ったスタートアップで、2回の資金調達、従業員の増加、顧客の大幅な増加など、昨年大きな前進を遂げました。
エコシステム・サポーター部門
Foundation for Business Equity(ビジネス・エクイティ財団)
ビジネス・エクイティ財団は、黒人起業家やラテンアメリカ人起業家の活躍に対する構造的な障壁を取り除くためのエコシステムとプログラムを構築しています。特に、黒人やラテンアメリカ人のビジネスを支援し、企業の成長と雇用の創出を加速させるためのエコシステムの強化に重点を置いています。2021年の新たな資金提供のコミットメントと、コミュニティでの活動の拡大によって、審査員はほぼ全員一致で、同社が“Inno Blazers”賞に値すると判断しました。
フィンテック部門
Algorand(アルゴランド)
アルゴランド社は、世界で最も分散化された、計測可能で安全なブロックチェーンのインフラ事業者です。同社の持続可能なブロックチェーンは、分散型金融からNFTアートまでを幅広く網羅し、世界中にパートナーシップを築いています。直近では、FIFAの公式ブロックチェーンプラットフォームになることが発表されました。「すべての人が効率よく、透明性をもって、安全に価値を創造し、交換できる世界」をビジョンに掲げるアルゴランド社の暗号通貨の優位性は審査員に感銘を与え、競争の激しいこの部門において最も評価される結果となりました。
健康・医療技術部門
Activ Surgical(アクティブ・サージカル)
アクティブ・サージカル社は、腹腔鏡、関節鏡、ロボットなどを用いた低侵襲手術のシステムが外科医と自律的に連携できるよう、ハードウェアに依存しない手術用ソフトウェアを構築しています。このイノベーションによって、患者の負担軽減や、意図しない外科的合併症の可能性の排除が期待されます。新たな資金調達やパートナーシップの発表により存在感を示し、今回の受賞に至りました。
ロボティクス部門
Verve Motion(ヴァーブ・モーション)
ヴァーブ・モーション社は、「SafeLift」というアシストスーツの開発によって、作業従事者の長時間労働、高い負傷率、頻繁な離職など、過酷な労働環境に関連する多額のコストを削減することを目指しています。同社は、ボストンにあるハーバード大学からスピンアウトした、ロボット工学、アパレルデザイン、運動科学といった複数分野の専門知識を結集したチームです。2021年は、シリーズA投資とパイロットプログラムによって、これまでで最も幅広い顧客層にプロダクトを披露し、今回の“Inno Blazers”受賞もつかみ取りました。
ソフトウェア部門
Voatz(ヴォーツ)
ヴォーツ社は、最先端のテクノロジーを活用し、市民がどこからでも安全に投票し、管理者が簡単に選挙を管理することを可能にします。有権者はアプリから受け取ったモバイル投票用紙を、生体認証または安全なPIN番号を使って送信することで、投票できます。米国大統領選挙で使用された最初のモバイルアプリとなり、ベネズエラの国民投票でも使用されました。これらの実績から今後のさらなる拡大が期待され、今回賞に選ばれました。
以上が、2021年、ボストンのイノベーションの先頭を走った、最優秀企業8部門でした。パンデミックという障壁の中、どのような企業が躍進したのか、トレンド予測のヒントは得られましたでしょうか。
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引用:
BOSTINNO「Meet the 2021 Inno on Fire Blazer winners」
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