今年1月には岸田総理が2022年を「スタートアップ創出元年」と位置付けることを表明し、3月には経団連が「スタートアップ庁」の設立を提言するなど、官民を挙げたスタートアップの支援強化の動きが加速しています。スタートアップの成長のためには、個社に対する支援に加えて、スタートアップ支援のための環境整備が有効であり、日本の各地でスタートアップ・エコシステムの構築に向けた取組が進められています。この記事を読んでくださっている皆様の中にも、ピッチコンテストやネットワーキングイベントなどの取組に参加したことがあったり、実際に企画に携わったことのある方もいらっしゃると思います。ただし、こうした取組は日本ではまだ盛んではなく、関心はあるものの、どのような取組が効果的なのか疑問に思っている方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、アメリカ・ボストンで4月に開催された、スタートアップ支援のためのイベントを紹介します!ボストンは世界有数のスタートアップ・エコシステムを構築しており、アメリカの調査会社スタートアップ・ゲノム社が公表した「グローバル・スタートアップ・エコシステム・レポート」において、スタートアップが成長しやすい都市の世界ランキングで5位にランクインしています。ボストンのイベント情報は継続的にアップデートする予定ですので、各イベントの内容のみならず、そのトレンドも参考にしていただければと思います。
投資家にアピールする機会に恵まれている!
まず特筆すべきは、4月には3件のピッチイベントが開催されており、うち2件は、ボストンの学生がプログラムの一環としてビジネスアイデアを投資家に対してプレゼンしました。このように、ビジネスアイデアを持っている起業家が、賞金やアクセラレーターによる支援を得る機会が多く、ビジネスを立ち上げやすい環境であることが分かります。さらに、起業の実務や最新の業界トレンドなどをテーマにした講演・ワークショップが複数開催されており、起業家が知識・情報をアップデートする機会に恵まれていると言えます。
また、ネットワーキングの機会が多いという特徴もあります。例えば、登壇者のスピーチやセミナーのあとにネットワーキングセッションが設けられており、登壇者や他の参加者と交流する機会が確保されています。また、朝食会のようなラフに交流を楽しめるイベントも開催されました。
以下ではそれぞれのイベントについて詳しく紹介していきます。
Northeastern Demo Day Spring 2022(ノースイースタン・デモデイ・スプリング2022)
本イベントでは、ノースイースタン大学の学生起業家12名が審査員・聴衆の前でピッチを行い、6,000ドル以上の賞金をかけて競い合いました。彼らは、大学のプログラムを通じて、世界を変えるようなアイデアの実現を目指して励んでいます。
Future of Human Engagement with OkCupid Founder(OkCupid創業者に聞く、人と人との関わり合いの未来)
これは、バーチャルな交流・人間関係の構築に関する分野の起業家に話を聞くイベントです。OkCupid社の共同設立者であり、マッチングアプリ「Tinder」を監修したMatch社の前CEOであるSam Yagan氏が、彼が起業する中で学んだこと、人間の行動に関する洞察、彼が考えるデジタル未来において社会参加する機会と課題について共有しました。
The E Forum Mentorship Program(Eフォーラム・メンターシップ・プログラム)
このメンターシップ・プログラムは、起業家向けのプログラムであり、起業のどのステージでも応募することができます。また、メンターには、マッチングした起業家の成功に関心を持ち、個人的な状況を含めて起業家のニーズを把握することが求められています。
Transatlantic Tech Leader Breakfast(大西洋横断テックリーダー朝食会)
これは、無料で参加できる朝食会です。このイベントには、ボストンのビジネス・コミュニティの技術系リーダーや、アイルランドからの代表団が参加して、ネットワーキング・情報交換を行いました。
Evolve Health Care Accelerator — Final Showcase(Evolveヘルスケア・アクセラレーター)
このイベントでは、ノースイースタン大学の学生が投資家に対してプレゼンテーションを行いました。さらに、同大学の代表者2名とMass General Brigham社の技術戦略・導入プログラムディレクターによるスピーチが行われ、最後にはネットワーキングセッションの時間も設けられました。
Breaking Down the Clinical Development Process for Startups(スタートアップ企業のための臨床開発プロセスの分解)
これは、ライフサイエンスに関する起業家を対象としたイベントです。ライフサイエンスは多くの規制や臨床のハードルがあり、ビジネス化までに時間がかかる分野です。本イベントでは、どのようにして障壁を乗り越えるかについてのセミナーとネットワーキングの機会が設けられました。
ODSC East 2022 Conference(ODSC East 2022会議)
本イベントでは、AIに関する最新の業界トレンドとイノベーションについて、展示やデモが示されました。また、参加者は、AIの未来を担う企業や業界のリーダーとネットワーキングを行いました。
M2D2 IMPACT Cycle 2 Accelerator Pitch-Off(M2D2・インパクトサイクル2・アクセラレーター・ピッチオフ)
このイベントでは、ライフサイエンス分野のスタートアップが、審査員に対して医療機器に関するソリューションについてプレゼンテーションを行いました。これらのスタートアップは、IMPACTアクセラレータ・プログラムを通じて、イノベーションのビジネス化を進めてきました。
How to Boston While Black Summit(ハウ・トゥー・ボストン・ワイル・ブラックサミット)
これは3日間のイベントであり、ボストンの黒人コミュニティが、すべての人が住みたいと思う街を作るための解決策や戦略について、ワークショップや体験を行いました。本イベントは大きく3つに分かれており、①黒人のハイテクおよびライフサイエンスのエコシステムの構築、②ボストンの専門的、文化的、市民的景観を紹介するために必要な情報と機会、③ボストンのナイトライフを含めた文化の体験に関するパネルディスカッションが行われました。
Bookkeeping and Taxes for Startups(スタートアップのための簿記と税金)
本セミナーでは、正確で有用な財務情報を作成するために、ビジネスにおける適正な会計処理の①一貫性(consistency)、②管理(controls)、③現金(cash)の「3つのC」について説明がありました。さらに、税制改革後の環境におけるビジネスのためのタックスプランニングの機会についての情報についても共有がありました。
今回は4月にボストンで行われたイベントをご紹介しました。如何だったでしょうか?本サイトではボストンで話題のニュースをご紹介しています。ご質問やご意見あれば、是非お問い合わせフォームをご活用ください!!記事が良かったらシェアをお願いします!
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Boston SEEDs は B-SEEDs LLC (Delaware, US) 運営のオンラインメディアです。”Entrepreneurship Mindset”のカルチャーを世の中に更に浸透させるべく主にボストン在住の現役の MBA 生がボランティアで活動運営しています。 Note