昨今、世界中でSDGsに対する関心が高まる中、海洋のサステナビリティ確保のための新たなビジネスが続々と生まれています。今回は、ボストンで実施されている、海洋ビジネスに関するインキュベータープログラム及びその参加企業についてのニュースをご紹介します。
BlueSwell インキュベータープログラム
先日、ボストンのニューイングランド水族館で、「BlueSwellインキュベータープログラム」の終了式が行われ、プログラムに参加したスタートアップ7社が将来のビジネスプランを発表しました。
このプログラムは、海洋技術のイノベーションのビジネス化を支援することを目的に、ボストンでスタートアップ支援を行うSeaAhead 社とニューイングランド水族館によって2020年に設立されました。参加者は、6カ月間に及ぶプログラムにおいて、同水族館の科学者やベンチャーキャピタリスト、SeaAhead社のビジネスストラテジストの協力の下、実行可能なビジネスモデル・ビジネスプランの検討や資金調達に向けた準備、ネットワーキング・コネクションの構築等に取り組みました。
それぞれのスタートアップは、海洋の環境保護、サステナブルな漁業、再生可能エネルギーなど、様々な分野に焦点を当てています。また、シードステージの資金調達や新規顧客の開拓など、今年の目標も各企業によって異なります。
参加企業の紹介
今年のBlueSwellインキュベーターに参加した企業は以下の7社です。
Aristotle’s Lantern
Aristotle’s Lantern社は、カリフォルニアやニューイングランドにおいて、ウニの急増に伴う昆布の森の破壊を食い止めることを目的として創業されました。昆布の生息地には何千もの生物が生息しており、昆布の森は生物の多様性及び気候変動の抑制のための重要な資産となっています。
同社は、ダイバーがウニを採取し、同社の養殖場に移送するプロセスを構築することで、ビジネスとサステナビリティの両立を図っています。養殖場では、独自の飼料を与えてウニを成長させてから販売しており、将来的にはウニの加工工場の設立も検討しています。
Aristotle’s Lantern社は、プログラムの修了後、資金調達に取り組んでいます。
Can I Recycle This?
Can I Recycle This?社 のミッションは、リサイクル可能なゴミが再利用されずに捨てられてしまうのを減らすことです。このスタートアップは、企業や消費者に対して、どこでどのようにリサイクルできるかの情報を提供するプラットフォームを構築しました。
アメリカでは、州によってリサイクルできるもの/できないものが異なっており、その分別が不十分だとリサイクルすることができません。リサイクル可能な素材が無駄になってしまうことを防ぐためには、リサイクルの可否について、位置情報に基づいた答えが必要です。このため、同社は、生産者・消費者に対して、地域ごとの素材のリサイクルの可否とその方法に関する情報をリアルタイムで提供するアプリを開発しました。
これにより、リサイクルできる素材とできないものが混ざることを防ぎ、結果的に廃棄物を減らすことを目指しています。
Oceanic Labs
Oceanic Labs社は、海洋の環境をモニタリングするために海中で使用可能な製品を開発しており、これらの製品は、大量生産・コモディティ化・使い捨てができるように設計されています。
同社を支えているのは、ボストンにあるマサチューセッツ工科大学とウッズホール海洋研究所で海洋の計測機器を研究しているチームです。
Ithaca Clean Energy
Ithaca Clean Energy社が提供しているアプリ「Waterfront」は、洋上風力発電事業者と漁業組合の間のコミュニケーションとデータ共有を促進するものです。
本アプリを利用することで、洋上風力発電事業者は、風力タービンの位置や修理などの活動予定について、漁業組合と情報を共有することができます。また、漁業組合からは、当該地域における漁場や生態系、海洋における危険性などの情報を提供することができます。
Mabel Systems
Mabel Systems社は、水産加工業者向けにカメラを使った在庫管理システムを開発しています。水産物の在庫管理に不備があると、食品廃棄につながったり、水産物の完全なトレーサビリティを妨げることになります。
同社は、世界の水産加工業者の8割を占めると言われている中小企業に焦点を当てており、より多くの中小企業を取り込もうとしています。
Organicin Scientific
Organicin Scientifi社は、動物に害を与えず、抗生物質耐性や毒性を高めることなく、魚介類の病気を治す薬を開発しています。その製品は、安全かつ効果的に病原菌を駆除するタンパク質を使用しています。現在、同社は牡蠣のための薬剤に焦点を当てています。
同社は現在プレシードラウンドにおける資金調達を進めると同時に、飼料メーカーやアニマルヘルス企業、製薬会社との提携も視野に入れています。
USEFULL
USEFULL社は、使い捨ての飲食料品用の容器をなくすという目標を掲げて、アメリカのマウント・ホリオーク大学やカールトン大学でサービスを提供しています。同社はステンレス製の再利用可能な容器の在庫を抱えており、学生は注文した料理をこれらの容器で受け取ります。後日この容器を返却することになりますが、その一連のプロセスを同社が提供しているアプリで管理します。
今回はボストンにおける海洋ビジネスに関する最新のニュースをご紹介しました。如何だったでしょうか?本サイトではボストンで話題のニュースをご紹介しています。ご質問やご意見あれば、是非お問い合わせフォームをご活用ください!!記事が良かったらシェアをお願いします!
引用:
BOSTINNO 「Bluetech of the future: Who would you invest in?」
投稿者
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