世界最大規模のライフサイエンス・バイオクラスターとして成長を続けるアメリカ・ボストン。バイオスタートアップの成長を支援するエコシステムにおいて、アクセラレーターは重要な役割を担っています。今回は、ボストンで始動した新たなバイオ・アクセラレータプログラムに関するニュースをご紹介します。
アクセラレータプログラム「MassBioDrive」とは
ボストンのNPO団体MassBioは、8週間のアクセラレータプログラム「MassBioDrive」を開始し、今年３月、第１回目のプログラムに5社のスタートアップが参加することを発表しました。本プログラムは、次世代の大型バイオスタートアップになりうる治療技術、バイオテクノロジー、またはプラットフォーム技術を持っている企業であって、株式での資金調達が100万ドル未満であることが応募条件であり、世界各国から70社以上の応募がありました。
本プログラムに選ばれた５社のスタートアップは、８週間のプログラムの中で、専門家によるビジネスの基礎カリキュラムの受講や専任のメンターへの相談、ライフサイエンス・バイオ業界におけるコネクション構築のためのネットワーキング、MassBioDriveのパートナー企業のリソースへのアクセス等を行うことができます。
本プログラムは、MassBioが2011年に設立したメンター制のプログラムMassConnectを発展させたものであり、参加者に無料で提供されます。年に２回開催予定であり、2022年秋の参加者募集が6月頃に開始される予定です。
プロジェクトに選ばれたスタートアップ５社
第１回MassBioDriveプログラムに参加するのは、アメリカ・ボストンのバイオスタートアップが２社、アメリカ・カリフォルニアが１社、カナダが2社であり、各企業の詳細は以下のとおりです。
Artificial Axon Labs Inc.（アメリカ・ボストン）
Artificial Axon Labs社は、神経変性疾患の治療薬を見つけるための創薬プラットフォームを開発しています。創業者がマサチューセッツ工科大学で開発したこの技術によって、新しい生体適合性材料、3Dプリントされた人工神経繊維、患者由来のヒト細胞を組み合わせて、多発性硬化症の治療薬を生成します。
Atorvia Health Technologies（カナダ・オタワ）
Atorvia Health Technologies社の目的は、重い症状の患者の病状を改善することです。最初のターゲットは急性腎障害であり、この疾患は世界中で数百万人が罹患しているにもかかわらず、未だに有効な治療法がありません。この問題を解決するため、同社は、制御された細胞死や腎不全を予防する、腎臓を標的としたペプチドの開発を進めています。
Modulari-T Biosciences（カナダ・モントリオール）
Modulari-T Biosciences社は、前臨床段階の免疫療法に関するスタートアップであり、癌やその他の病気を治療するための免疫細胞を再プログラムする新たなプラットフォーム（MARC）を開発しています。同社のMARC技術は、CAR-T療法（自身の免疫細胞であるT細胞に対して遺伝子操作を行い、「がん細胞」を攻撃させる治療）の2倍の効力を持ち、副作用を10分の1に軽減できるとしています。
PhenoTarget Biosciences Inc.（アメリカ・カリフォルニア）
PhenoTarget Biosciences社は、癌、線維症、心血管疾患、感染症などの満たされない医療ニーズに対応するための画期的な治療法の発見と開発に注力するバイオテクノロジースタートアップです。同社は１つの治療法に固執しておらず、同社のパイプラインとテクノロジープラットフォームが取り扱うのは、低分子化合物から機能化ペプチド、次世代細胞治療まで、多岐に渡ります。
SYTE.bio, Inc.（アメリカ・ボストン）
SYTE.bio社は、独自の線状DNAと環状RNAテクノロジープラットフォームを用いた精密な治療薬の発見、開発、将来の商業化に焦点を当てたスタートアップです。同社は、世界中の患者の正確な治療と予防を可能にする、新しくて効果的な治療薬とワクチンの提供を目指しています。
今回は、ボストンで始動した新たなバイオ・アクセラレータプログラムの内容及びその参加企業をご紹介しました。如何だったでしょうか？本サイトではボストンで話題のニュースをご紹介しています。ご質問やご意見あれば、是非お問い合わせフォームをご活用ください！！記事が良かったらシェアをお願いします！
引用：
BOSTON BUSINESS JOURNAL 「5 biotech startups selected for new MassBio accelerator」
