”アメリカは自分を鍛え直す良いステージ” 米国プロサッカーリーグ唯一の日本人GKコーチが考える挑戦する価値とは!?

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 Qなぜ、GKコーチとして、アメリカという舞台を選んだのか?

自分は中学と高校で、東京の三菱養和サッカークラブ(以下、養和)でプレーしていて、中学2年だった2006年のドイツのワールドカップがあった年に、養和がドイツの国際大会に招待されました。そこで初めて違う国の人とサッカーをする機会があり、海外でサッカーをする楽しさを知ることができました。また他の国の人たちは、国籍に関わらずコミュニケーションを取っているなか、自分たちだけが言葉が分からず、日本人だけで話している状況があって、そこで少し悔しさがありました。どうにかしてヨーロッパでプレーしたいという、その当時の気持ちが最初の海外でプレーしてみたいと思ったきっかけですね。

アメリカについては、その当時、養和の先輩がMLS(Major League Soccer:アメリカのプロサッカーリーグ)で活躍されていて、その方がたまたまオフシーズンに養和に戻って来ていました。その際に少し話をさせてもらう機会があり、アメリカの大学システムや奨学金制度について教えてもらい、そこで初めてアメリカに行ってみたいという気持ちが湧きました。中3か高1ぐらいの時ですかね。当時は代理人というのがいなかったので、その先輩の知り合いを通じて、話を聞いたり、トライアウトの話を聞いたりしました。具体的にどういう経緯で、どういう方法で海外に行くというプランがなかったですが、やはりドイツを経験した事が大きく、そしてどこかで環境を変えたいという気持ちがありました。そんな中アメリカに行くチャンスをもらい、合同トライアウトを受けました。期間は1週間だったんですが、ジョージアの施設を借りて、他の大学のチームやセミプロのチームと試合を行い、その試合を色々な大学のスカウトが見ているという形式でした。下手な選手や上手い選手、国籍、プレースタイルが違う中でプレーする難しさもありましたが、自分はできるなっていう感覚もあり、何チームからかオファーをいただいた中で、一番条件の良い大学を選ばせてもらったという感じです。

”アメリカは自分を鍛え直す良いステージ” 米国プロサッカーリーグ唯一の日本人GKコーチが考える挑戦する価値とは!?

Qいくつのチームからオファーがあったのですか?

当時、4つの大学から声を掛けてもらい、そのうちの2校が、授業料についてフルスカラシップを出してくれるという条件だったんですけど、TOEFLの点数が良くなくて、現状では100%のスカラシップを出せるけど、1年間はサッカーができない条件だったんですね。それで、自分が選んだ大学は、過去、全米優勝を8回しているところで奨学金を6割から7割を出すから、残りを自己負担という形で提示されて、サッカーのプレーには全く影響ないからという条件でした。入学後に、自分のパフォーマンス、成績次第でフルスカラシップに選ばれる可能性もあるという条件でした。アメリカでは、用具類や遠征費は、全て大学が出してくれるのが基本なので、確か自分の記憶だと、自分が負担した金額は1年で100万円弱ぐらいだったと思います。当然、スカラシップをもらえるとなるとモチベーションにもなるし、本当に死に物狂いでやって、スタメンで出させてもらい、2011年の1年生時に、全試合に出場させてもらって、24戦無敗で全米優勝しました。翌年からフルでスカラシップを出してもらってそのまま3年間は継続でした。

Qプレー面では、1年生からレギュラーとして出場し4年生まで順調だったとのことですが、語学の面で、自分の変化や苦労したことはありますか?

1年目はもう全く英語が分からなくて、日本で勉強して来たつもりだったんですけど、本場の英語になってくると全然分からなくて、どうしても英語を聞いてそれを日本語に翻訳し何を言いたいかを考えて、それをまた英語に翻訳し言葉にするという効率の悪い流れでコミュニケーションをとっていたため、自分が何か言おうとしたときにはもうその会話が終わっていたり、授業も英語が分からない人のためにやってるわけではないので、1から10までが本当にすごいペースで進んでいたりで、1年目、2年目はきつかったですね。3年目になってようやく何を言っているのかを理解でき、単語が見えてくる感じですよね。徐々に翻訳しないでも英語で理解できるようになりました。日本語に翻訳せずにそのまま発するっていうことができるようなってきたのは4年目ぐらいですかね。

Qゴールキーパー(以下:GK)というポジションで、DFの選手とコミュニケーションを取れていた?

そうですね。取れていたのか分からないんですけど、取っていたつもりではあります。自分たちのNAIA(National Association of Intercollegiate Athletics:主に私立大学で形成された組織)というのが、インターナショナルな学生が多いリーグで、NCAA(National Collegiate Athletic Association:4年制大学のスポーツを統括している組織)とは少し違った独特なリーグだったので、自分の他にも英語を母語としない選手が多くいました。その他にも当時はNAIAはレベルが高く年齢制限もなかったんです。

例えば、自分が1年生の頃に、大学2年生のセンターバックが29歳だったり、右ウイングの選手がウガンダ代表だったり、あるいは、ジャマイカのU23代表がいたり、NCAAのディビジョン1(以下、D1)のように厳しいルールがそこまでなく、元プロ選手や外国人といった選手を集めたチームでした。2011年の春シーズンにはNCAA チャンピオンであったIndiana UniversityとNAIAで優勝した自分たちと試合をする機会があり、3‐0で勝つことができました。NCAAばかりが注目を浴びていた中でNAIAのチームでも対等以上の試合ができることを証明できた試合でもありました。

Q米国では、複数のカンファレンスがありますが、拮抗してるんですね。

やっぱりNCAAのD1は、上から下までレベルが高いですね。NAIAでは、上位10チームはおそらくNCAAのD1のトップに食い込んでいけるようなレベルだと思います。ただNAIAの下は相当レベルが落ちますね。

 

ー少し怖さもあったけど、一線引いてちょっと違うルートに進もうー

 

Qプロを目指していたとお聞きしましたが、4年生のときは、どのような事を考えていましたか?

MLSでドラフトにかかりたい。それが目標で毎日プレーしていました。そんな中、やはりビザや外国人枠の問題が難しいというのを痛感させられた年でもありました。どれだけ結果を残していても、今、コーチになってから初めて分かったんですけど、なかなかGKのポジションに外国人は置きたくないというクラブが多く、正直自分もそういう考えになってきたというのが本音です。

例えば、MLSではDP(※Designated Player制度:リーグが制定したサラリーキャップ(給与制限)を超えて高額な選手と契約することを可能にする仕組み)システムを設けています。基本的にDPの選手は外国人の選手です。ベッカムを始め、カカ、イブラヒモビッチ、メッシのような選手を連れてくるという考えがどうしても必然的にあるので、彼らのような選手のためにインターナショナルスポット(※各チームが外国人選手を登録するために使用する枠)を確保しておかないといけません。その枠をGKに使うというのがなかなか難しく、ヒューゴ・ロリス(※Hugo Llorisは、フランス代表のGKとして知られ、英国プレミアリーグのトッテナム・ホットスパーズから、2023年12月にMLSのロサンゼルスFCと契約)や、ブルキ(※Roman Bürkiは、スイス代表のGKとして知られ、ドイツ・ブンデスリーガのボルシア・ドルトムントから2022年7月に、MLSのセントルイス・シティSCと契約)という選手には、インターナショナルスポットを与えていますが、彼らの様な経歴や実績のない、大学を卒業した外国人のGKにインターナショナルスポットを与えるというのはなかなか厳しいというのが現実でした。そこで初めて外国人プレイヤーとしての難しさ、壁にぶち当たったって感じですね。その後トライアウトなどを経てスウェーデンでプレーする機会をいただけました。その当時24歳だったんですけど、契約もニュースで見るような大きな契約ではなく、生活面でどうしても親に頼らなきゃいけなく26歳になった2018年にこのままじゃいけないなって感じるようになりました。

Q22歳で卒業して、スウェーデンでは何年プレーしたんですか?

アメリカでは、レッドシャツ(※Red shirt:公式戦に出場せず、チームの練習に参加しながら学業に専念すること。その後のシーズンに出場資格を維持できる)という、1セメスター期間に、勉強に徹底することができるシステムがあります。1年目に学業で苦戦していたので、3年生の頭に1セメスター期間だけ、レッドシャツを使って勉強に専念していた期間がありました。もちろん、その期間はチームトレーニングはできますが、シーズンは出られないことになってます。自分は2015年5月卒業予定でしたが、半年だけ遅らせたことで、2015年12月のセメスター後に卒業して、そのタイミングで、スウェーデンに行きました。そこでは、2シーズンやらせてもらい、シーズン途中の26歳時に複数のアメリカの大学から、コーチをしないかっていうお話をいただきました。最初はまだサッカー選手として突き進んでいきたかったので断っていました。ただ26歳になっていつまでも親のすねをかじってられない思いがあり、少し怖さもありましたけど、一線引いてちょっと違うルートに進もうという考えになりました。

Qそのときに声を掛けてくれたというのは、学生時代の野村さんのプレーを見ていた方たちですか?

そうですね。大学のコーチの中で、誰か良いコーチを知らないかとか、今チームを探してるコーチはいないかっていう話になった時に、色々な方がまだコーチの実績も経験もない私の名前を出してくれて、最終的にアメリカのアーカンソー州にあるセントラルアーカンソーというNCAAのD1の大学に行くことを決めました。元々、自分が選手をしたときの大学のGKコーチがそこで指導をしていましたが、いなくなるという事でその後を自分に埋めてほしいということで推薦してもらった形です。そこで2シーズン指導しました。

Q初めてのコーチとして、2シーズンを経験していかがでしたか?

 丁寧に指導したらもっと良い選手になるなっていう感じの子たちがたくさんいて、その時に感じたのが、まだアメリカの大学にはGKコーチという立場が普及してなく、GKトレーナーがすごく多いなって思ったことです。コーチは、選手を常に改善するため、または彼らのポテンシャルを最大限にいかす為に悪いHabit、良いHabitを見極め、一つ一つのテクニックを選手に刷り込ませるのがコーチの役割だと自分は考えています。一方でGKトレーナーは、コーチの“指導する”というよりかは、ボールを蹴り選手を常にポジティブに、選手の良い所に焦点を置いてアプローチする感じのスタイルかなという印象があります。コーチへの一歩を踏み始めた最初に感じたのは、自分次第で良くも悪くもなるなというのはすごい感じました。ただ言語化するのは難しかったですね。コーチになる前に色々なところで日本のコーチに話を聞いたりし、どういうふうに選手にアプローチしたら良いのかなどのアドバイスをたくさん頂きましたが、いざトレーニングをこなし、選手の映像などを確認しながらどのように選手の良い習慣、悪い習慣を修正していくか考えた時にどのように言語化すれば良いか、どのように分かりやすく伝えれば良いか、正直かなり迷ったし、難しかったですね。

 

ー人との関わり、どれだけコミュニケーションを取れたか

どれだけ自分のやっていることを見てもらっているのかが大事ー

 

Q言語化が難しいとは、具体的にどのようなことですか?

自分の中でずっと思っている理想のGK像というのは、安定感があり身体能力(身体を上手く使える選手)が高い選手です。安定感を作り出すにはもちろん経験も必要ですが、しっかりとしたコアの技術があり、常に良いバランスを保っていることで、安定したパフォーマンスが出せるのだと考えています。それを考えた時に、例えばこの選手はなぜセーブをする時に後ろにセーブをする癖があるのか。そんなことをよく考える様になりました。ボールをセーブするときの基本は、後ろに飛んでセーブするよりかは前(横)に飛んでセーブしたいんです。後ろにセーブするとボールがゴールに行きがちですが、前(横)にセーブすればボールは必然的にゴール外にいく、それがGKのセーブの基本なんですね。でも、何故かこの選手は後ろに飛んでセーブすることが多く、それを自分で分析して、事象は分かってるんですけど、それをなかなか言語化できなかったです。何度も見て気付いたことが、頭って体の部位の中で一番重いと思うんですね。それ故、頭が少し動いたり後ろにいっただけで、重心がずれて、バランスを失ったり後ろにいっちゃうんですよ。だから、その頭をいかに動かさないでおくか。例えば、頭がボールの方向に、少しだけでもいくと、身体って頭につられてボールの方向にいき、必然的に手も前に出しやすくなります。

また無駄な動きがなくなり効率のある動きが出やすくなると自分は考えています。それを選手にどう説明したら良いのか、どうアプローチしたらいいのかを考えたのを覚えています。

あとは、基本姿勢、構えた時の足の幅です。どうやって足で地面をプッシュすれば良いか、例えば、基本姿勢のときに、重心というか親指を中心にステップするようにしようという自分ルールを編み出しました。そうすると、地面をプッシュしやすいんですね。それをふまえて選手のプレースタイルを見ながら、彼らのポテンシャルをマキシマイズするのに、何が必要なのかを常に考えています。たぶん、日本語でも言い辛さってあると思います。それを、英語で伝えるとなってくると、どういう風に言えばいいんだろうとか、かなりありますね。

 

ービザの難しさ、外国人として受け入れてもらえる難しさー

QネイティブスピーカーのGKコーチから、気付くことはあります?

それはめちゃくちゃありますね。自分が大学でコーチをしている時に色んな所に行かせてもらい勉強させてもらいました。幸運にも知り合いがヒューストンダイナモ(MLS)や元アメリカ代表の人がコーチをしていた為、そこに足を運んで、彼らがどういう指導をして、どういう風に選手と向き合って、どんな会話をしているか、本当にオタクのようにメモするのを繰り返していました。あとは、夏の期間にいろんな小さな子たちを集めてGKキャンプをし、彼らに対して自分の理論、考えを伝え、試しながら、この言い方は分かってもらえるのかなとか、いやこれ言ったら全然わかってもらえなかったなっていうのを試行錯誤しました。子供にしっかり伝えられなければ上手くコーチングはできませんからね。それが実を結んだかわからないですけど、2019の冬にニューイングランドレボリューションからご縁をいただいて、プロチームのコーチになりました。

Q当時の心境は?

信じられなかったです。やっぱり人との関わりって大事だなっていうのは再確認しました。自分に自信があっても、成功をおさめても、周りからしっかりと認められないと意味がないし、海外で外国人として働く以上、クラブがVISAを発行しなければならないです。その為には何か彼らアメリカ人より長けているものがなければならないです。そういった面でアメリカ人たちと比べたらスタート地点が少し違いますし、プレッシャーもあります。ビザの難しさ、外国人として受け入れてもらえる難しさは知っていたのでそういった面でもオファーを頂いた時は信じられなかったです。

自分は幸運にもたくさんの優秀な指導者と繋がるご縁があったり、いろんな人からポジティブなフィードバックをもらうことができました。今このクラブでコーチをできているのも、元アメリカ代表のジョンブッシュのおかげです、クラブが最初にジョンに仕事をオファーしたのが全ての始まりです。彼は諸事情でオファーを断ったみたいなんです。そこでクラブ側から知り合いにGKコーチはいるかと聞かれた時に、彼が自分の名前を出してくれた訳なんです。アメリカ代表を経験して、MLSも21年間やってた選手だったので、彼が言うことならということで外国人でVISAも必要というのも関係なく、採用してもらいました。

 

ー環境を変えるのが大事。どれだけ本当に自分を信じられるかー

Q今年、このチームに来てから4年目、いかがですか?

そうですね、GKコーチとして、教え方、自分の技量というのは、まだまだ未熟だなと痛感させられていて、もっともっと細部まで見ないといけないし、より良いGKを育てたいなと毎日思っています。毎日ファーストチームの練習を見に行く機会をいただいたり、アシスタントGKコーチとしてファーストチームに携わらせていただいた時に、ファーストチームのGKコーチのアプローチであったり、指導法を間近で見てもっともっと自分も妥協なく選手と正面からぶつかり合わないといけないなと感じたんです。

ファーストチームのGKコーチは元チェルシーの選手でマンチェスターシティでGKコーチの経験もあり、シェイ・ギブン(Shay Given:アイルランドを代表するGK)、キャスパー・シュマイケル(Kasper Schmeichel:デンマークを代表するGK)を指導していました。そんな彼のもとで指導を受けたマット・ターナー(Matt Turner:94年生まれのアメリカ国籍。ニューイングランド・レボリューションズでの活躍後、プレミアリーグのアーセナルに移籍)がアーセナルに行きましたけど、彼の横でずっと指導法を見ていて自分も彼みたいなコーチにいつかなりたいと思いました。選手との向き合い方や何を求めているのか、細部まで気付かせてくれました。あとは、日本にもリスペクトしているGKコーチがたくさんいて、いろんな話をしながら彼らのGKに対してのアプローチの仕方や何を求めているのかを、帰国した際にお話ししたり、たまに練習に混ざったりしながら学ばさせていただいています。

Q10年以上のアメリカ生活の中で、これから海外に挑戦する人にどういうことを伝えたいですか?

環境を変えるのって大事だなっていうのはすごい感じています。もちろん環境のせいにしちゃいけないっていう考えもあると思うんですけど、誰も知らない、誰も頼りにできない環境に身を置くことでがむしゃらにやらなきゃいけなくなるし、本当の自分を見つけ出せると思うんです。自分は、高校の最後のJユースのときに挫折して、下の学年の選手にポジションを取られてベンチにも入れない悔しい経験をしました。中学、高校と、基本レギュラーで出させてもらっていて、全国大会、国体にも行かせてもらい、少し自分を過信していたのかも知れません。

そんな自分の甘さが出た結果だと思っています。そんな自分の良いところも、悪いところも知らないアメリカの舞台でやるのは、自分を鍛え直す良いステージでした。日本にいたらどうしても、友達もいるし、家族もいるし、食事も困らないし、言葉も困らないし、何も困らないですからね。それが海外に出ることで180度変わり、本当に良くも悪くも頼れるのは自分しかいないっていう環境になります。それが当時の自分には必要だったのかなっていうのは正直ありましたね。今は、日本人留学生が増えてきていて、行く場所によっては日本人をかなり見るところもあります。でも、やっぱり最終的にどれだけ自分に向き合えるのかが鍵になってくると思いますし、それを経験できた人は、日本でも海外でもトップでやっていけると思います。

 

ー上に行くには、違う武器を持ってないといけないー

 

Qそのような経験を経て、今ご自身が挑戦していることはありますか?

常に新しいことをやりたいと思っていて、去年からGKコーチの他に、セットピースのコーチも兼任しています。スローイン、コーナーキック、ディフェンディング、アタッキング、PKっていうのを任させてもらえるようになっています。もちろん、GKコーチがメインなんですけど、両方深く追求して結果を出せればなと思っています。やっぱり上のレベルに行くためにはGKコーチだけじゃなくて、他の違う武器を持ってないといけないし、外国人でやってる身として他のアメリカ人のGKコーチと違うことはできてないと評価してもらえないので、そこは本当に常にチャレンジしています。あとは、どのように自分のGKの選手達と接するか。選手とコーチというよりか、人間なので彼らも良い日と悪い日があると思います。そこをどうやって見極めて、どれだけ彼らのことをわかってあげるか、接することができるのかが課題ですね。

Q外国人として違うことができないと評価されない、という言葉がリアルな表現ですね

例えば、日本人の自分の方が上手かったとしても、身体能力があって、ある程度できるアメリカ人のGKと自分を比較して、クラブがどっちを契約するかってなったときに、絶対にアメリカ人を取ると思うんですよ。VISAも必要ないし、レベルも同じだったら当然アメリカ人を契約しますよね。そうなったときに、自分の武器をしっかり持っていること。他の選手が持ってない武器をどれだけ使えるポケットがあるか。そこからだと思いますね。プロの世界だったら、ある一定のレベルの上で、次のレベルに行くために、安定感があったり、他選手以上に走れるとか、絶対にボールを失わないとか、空中戦で負けないとか、そういう何か突出してないといけない。しかも外国人だったらなおさらだと思いますね。

Qアメリカで1つ1つのことを積み重ねて評価され、仕事の守備範囲を広げていることについて、どのように感じていますか?

あまり考えないようにはしています。プレシーズンでファーストチームに参加してくれないかと言われた時は、少しずつだけど認められてきているのかなと思いました。自分の目標は、このクラブで一時的ではなくてファーストチームで仕事をすることなので、もっとやらなきゃいけないという思いがありますね。自分がやりたいことをしっかり確立して、そこに向かっていろんな角度からそこに向かっていく。やればやるだけ周りからも評価してもらえると思いますし、そうすることで少しでも自分のゴールに近づけると信じています。

Q最後に将来のビジョンは?

ビジョンとしては、現段階で考えてる目標は、MLSのファーストチームで指導するのが目標です。そこからナショナルチームで指導してみたいっていう思いもあります。どうしても日本人でGKコーチがまだまだ世界で広まっていなくて、日本人のGK、もしくはGKコーチというだけで少しネガティブに捉えられちゃうことが正直あります。できることをやり少しでもそんなステレオタイプを壊して上のレベルでより良い選手を育てられたら良いなと思っています。

 

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【取材後記】

サッカーに限らず一般的な企業の中でも、外国人がプロフェッショナルとして、その場に残り、勝ち続けるのは至難だ。環境を変え、自身と向き合い、評価を勝ち取る野村さん。世界で活躍するプロフェッショナルの日本人GKコーチとして、新しい道を切り開いて欲しい。【内野優】

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如何だったでしょうか。本サイトでは、「私も一歩踏み出してみよう」と思える。挑戦者の行動を後押しする記事をご紹介しています。

次回の記事もお楽しみに!

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