【失敗学×起業】アメリカ最高峰バブソン大学教授が明かす!失敗学から導く起業成功のノウハウ vol.1 ~挑戦への「漠然とした不安」を乗り越えるためのマインドセット編~

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今回は、挑戦者の行動を後押しする起業家教育メディア “Boston SEEDs”と、起業家教育で全米No.1のバブソン大学のコラボ企画になります!

本企画では、バブソン大学の日本人教授・Dr.Failureこと山川教授と、起業家の卵たちの対談を通して、アントレプレナーたちが抱える悩みを解決するとともに、山川教授の失敗学や挑戦に対する考え方を紐解いていきます。

第1回は、バブソン大学MBAの現役生であり、Boston SEEDsの運営・執筆を行うSosukeとRyoが、自身が今取り組んでいる挑戦について山川教授に相談!

何かに「挑戦」することはハードルが高いと感じている方必見、「起業家のためのレッスン」開講です!

【失敗学×起業】アメリカ最高峰バブソン大学教授が明かす!失敗学から導く起業成功のノウハウ vol.1 ~挑戦への「漠然とした不安」を乗り越えるためのマインドセット編~

Topic1 挑戦への「漠然とした不安」を乗り越えるための起業家のマインドセットは

Sosuke:私は今、寄付した人に対して寄付金の流れを見える化できるプラットフォームを提供したいと考えていて、そのためのソフトウェアをNPOに対して提供したいと考えています。

自分の寄付体験から、自分のお金が実際にいつ、どこで、どのように使われ、その後どんなインパクトがあったのかが見えず、寄付行為に対する満足度が低いことに疑問と課題を感じていました。また、アメリカに来て、寄付の習慣・文化が生活の一部になっていることに感銘を受けたと同時に、アメリカにおいてもこのような課題意識を持っている人が多くいることに気付きました。このペインポイントを解決するために、まだアイデアベースではありますが、寄付文化が発展しているアメリカでサービス提供するために奮闘しているところです。

寄付者には明確なベネフィットがあることを確信している一方、NPOにデータを開示してもらう必要があり、NPO側に明確なメリットがあるのかまだ確信を持てておらず、また実際にそれを実現するソフトウェアがNPO側で実装可能なのかについてもまだ不確定な部分があります。

今後、NPOへのインタビューで実際のペインポイントなどを確かめていきたいと思っているのですが、本格的にこの活動をしていくことに漠然とした不安を持っています。

元々非営利セクターのバックグラウンドもないため、全く知らない業界に対する不安であったり、このまま進んで行っていいのかという不安を持っています。

こういう気持ちに向き合うときの、メンタリティについて相談したいです。

 

山川教授:漠然とした不安は常にあるものです。それが心地悪さです。

まずはその心地悪さに慣れないといけないんじゃないかな。心地悪いことが普通で、心地よいということがアブノーマル、そんな世界こそが起業家の常だと思います。

 

”Comfort zone is a beautiful place, but nothing grows there.”(心地よさの中に、成長はない)とよく言われますが、起業家って何を指標にしているかというと、自分の成長なんです

何かをやって、それに経済的価値がついたとき、事業構想は大きくなるけど、それだけでは自分のプログレスとして何かを計ることができない。だからこそ、自分がどれだけコンフォートゾーンを出たか、ということはすごく大事な指標で、バブソン大学でも起業家教育の中でその重要性を教えています

そして、コンフォートゾーンの先にあるのが、アンコンフォートゾーンです。”Uncomfort zone is your usual place.”(心地悪い場所があなたの居場所だ)と言わており、いかに心地悪い、居づらい、自信がない場所を、自分の普段の場所にできるか、ということなんですよ。入口は怖くて入りづらいけど、いったん足を踏み入れたらそこに慣れていくしかないんです。

そして、その試練を乗り越えるために必要なのが、やっぱり仲間だと思う。

みんな言うけど、結局たどり着くのは人の世界。自分の悩み事や、どうやって一歩踏み出そうという不安も、周りの人と対話しつつ、お互いが自信を無くさないように歩んでいくしかない。

そのためには「○○のために」という大義を持つことが重要だと思います。自分本位にならず、ビジョンやミッションを属人化させず、この事業が世界や世の中のために役立つものなんだと信じているから、自分の心地悪さを乗り越えてまで、やらなきゃいけないと思えるところがあると思います。

さらには、自分がやらなくても他の人がやってくれればいい、一緒にやっている人たちに任せていく、という譲り合いもできてくると思います。それは、その事業が大事なのであって、自分が大事なのではないからです。

重要なのは、周りの人たちをある意味精神安定剤として使いつつ、メンターを複数持つことです。メンターは必ずしもビジネス文脈でなくてよくて、自分の弱さや悩みを打ち明けられる人のことです。それは奥さんかもしれないし、子供かもしれない。両親、おじいちゃん、おばあちゃんでもいいんです。自分の弱みを遠慮なく言えるメンターと、ビジネスをやっていく上でのアドバイザリーボード、ディレクターボードとは違います。まあ同じ人である場合もあるけれど、それを自分の中でごっちゃにしないことが大切です。

事業アイデアももちろん大切だけど、チーム構成をどうするかがすごく重要なんです。今自分に足りていないものを誰が補えるか、リアルネームで埋めていきます。いない場合は、アニメのキャラクターでもよくて、例えば出来杉くんが欲しいなとか。キングダムのキャラクターとか。際立ったキャラをたてて、自分のチームを作っていくんです。そうすると、多少安心してくるんですよ。

【失敗学×起業】アメリカ最高峰バブソン大学教授が明かす!失敗学から導く起業成功のノウハウ vol.1 ~挑戦への「漠然とした不安」を乗り越えるためのマインドセット編~

Sosuke:山川教授もそうやって、漠然とした不安を乗り越えてきたのですか?

 

山川教授:そうですね。自分1人じゃやってこれなかったと思います。

でも私は、1人でできるところまでは絶対自分でやりたいタイプだから、今でも周りに渡し切れていない部分が多いと思います。だから自分に足りないのは、デリゲーションだと思っています。

それでも、ある時点でこれは自分ではできないと思うと、人に助けてもらっています。そうやった過去もたくさんあるし、もっと人に頼らないといけないと思います。自分はどこに集中して、他の部分では自分よりできる人をどう探して、その人にどうリードしてもらうか、ということに集約されるかと思います。

悶々としていても、何にもならないから、やっぱり人に話すしかないんじゃないかと思います。

でも人に話してみても、その人は聞いてただうんうん言ってるだけの相手かもしれない。その人も聞いててくれているから、少しストレスは減るかもしれない。でも一方で、本当に悩んでることを真剣に言っているのにうんうん言われても腹が立つかもしれない。そうしたら、この人はこの聞き役はダメってことになります。

自分が目的としているものと、相手が得意としているものをちゃんとマッチしていって、そうやって周りを頼りつつやっていくことが重要です。
これは、ビジネスの始まりだけじゃなくて成長していく段階でもそうです。大半の問題は「人」で、1人でも増えれば問題が出てくる。だからこそスタートアップにおいては1人1人の役割が重要。やっぱりリクルーティングが大変であり、時間をかけるべきところなんだってことだと思います。

ビジネスアイデアは自分1人でも何とか修正がきくけれど、人は修正がきかないんです。それに、自分が理想としている人が明日来るかもしれないし、1年たっても現れないかもしれない。不確実性が高い分難しさがあります。

 

Ryo:私は、自分が理想とするチームを考えて言語化するっていうのがまだできていません。そのため、相談に乗っていただける方がいたら喜んで相談するっていう、結構行き当たりばったりな人との出会い方をしていると思うんですが、これでいいんでしょうか?

【失敗学×起業】アメリカ最高峰バブソン大学教授が明かす!失敗学から導く起業成功のノウハウ vol.1 ~挑戦への「漠然とした不安」を乗り越えるためのマインドセット編~

山川教授:それでいいと思います。行き当たりばったりでいいから、とにかく人とくっついてみることが大事です。数打ちゃ当たるじゃないけど、逆に求めている人がいきなり出現して一本釣りできるってことはないんだよね。

たくさんの人を知っておくことで、人を見る、すなわち、それぞれの長所や短所などを見る機会も増えるし、その中から時と場合に応じて必要な人を選んでいけます。やっぱりプールが必要です。機会を待って待って、こういう人が欲しいからこういう人にアポをとってつないでもらって…というんじゃなくて、もう常に日常でいろんな人とつながっておいて、その中のベストを選んでいくべきです。

そうしておけば、事業のこんなことが知りたい、こんなことを決めなきゃいけないというポイントで、それを一番分かってる人ってどんな人なのかを考えることができます。

例えばSosukeの話では、NPOとのコネクションを考えなきゃいけないと思います。そうしたら、まずNPOを経営している人たちってどんな人かっていうことを思い描くんです。そのあと、じゃあそういう人たちと接点を持つのはどんな人なのか?どんな場所に行けば会えるのか?っていうことを考えていきます。

こんな風に、人の問題はずっとつきまとうから、常に人を思いながら、想像しながらやっていくことがすごく大事だと思います。

 

Sosuke:自分のやろうとしていることを、形になっていなくてもいいから、しつこいくらいに周りに発信していくことが大事ということでしょうか?

 

山川教授:そうですね、まだSosukeのアイデアはかなりピボット(方針転換・路線変更)を繰り返すんじゃないかと思っています。

Sosukeは、寄付する側には必ずメリットがあると言っているけど、まだそれは確証がないと思います。自分の経験からアイデアが生まれたことは素晴らしいけれど、自分だけが自分に共感するってことも結構あると思います。だからこそ、寄付を可視化することが本当にメリットになるのか、その人がプラットフォームに来てどんなペインが解決されるのかというところは、初めてプレゼンしてもらったときから実はずっと完全には腹落ちはしていません。
だから、そこはまだまだフレキシブルなはずです。どんどんインタビューしてほしいし、本当のターゲットマーケットが誰なのかということには、まだまだ検討の余地があると思います。

ペルソナってよく言うけれど、実際に寄付をする人たちの年齢や世代、どれだけお金があって、どれだけ寄付が税金対策になっているのか、それらを知ったうえで、そこに入れたお金がどう使われているのかという情報が、本当に彼らにとって重要か考えます。もちろん、寄付金の使い道は本来大事な情報だけど、ビジネスを成立させるための必要最低条件として、そこがものすごい差別化になるとはまだ信じきれていません。だからそこをもっと追求する必要があると思います。

確かに、アメリカ人には寄付する人がたくさんいます。巨額の場合もあるし、普通に近辺の学生たちも寄付しています。本当に敬虔なクリスチャンだったり、ペットが大好きだったり、ちょっとしたお小遣いを寄付しようっていう人たちもたくさん見てきているし、その中には、それが何に使われてるのかなって疑問を抱えている人もたくさんいました。

例えば過去の学生で、「発展途上国の子供たちに服を届ける」という文句で寄付を募っているサイトに、実際に寄付をした子がいました。しばらくしたら、郵送物が届いてその中には、服を着た発展途上国の子供の写真と名前とメッセージが入っていて、彼女はうれしく思ってシェアしたんだけれど、何年後かにそれが詐欺みたいなものだったと分かりました。その郵便物はただ単に作られた話だった、ということがあって、彼女もがっかりしていたし、そういう実例はたくさんあるんだと思います。

そういう話を聞くと、寄付金が何に使われてるかっていうのはすごく大事だと思うし、そこに一喜一憂、感動の有無というストーリーは確かにあります。

でも、寄付金の使い道を可視化することが本当に寄付する人数を増やすのか、または寄付金額を増やすのか、なぜユーザーはそのプラットフォームを絶対に使いたいと思うのか、その先のどんな問題解決になっているのか、といったことがしっかりと実証されてほしいと思っています。

【失敗学×起業】アメリカ最高峰バブソン大学教授が明かす!失敗学から導く起業成功のノウハウ vol.1 ~挑戦への「漠然とした不安」を乗り越えるためのマインドセット編~

ただし、今日本とアメリカのカルチャーではっきり違うのが、寄付のように、マインドセットとプラットフォーム、インフラ、教育、歴史、いろんなものが絡んでいる分野であることは確か。

そこに目をつけて、せっかくアメリカにいるから、そのギャップを利用して起業のアイデアにしようという、その目利きポイントはすごく好きです。

どんな風にこのアイデアが転ぼうと、この分野のものすごいエキスパートになれる可能性があります。それを成し遂げようとすると、いろんな人と話をしなきゃいけないし、将来Sosukeの顔を見ると寄付に関してよく知ってる人だ、ってなるようでないとだめ。でも、もしそうなれたとすると、そこでもっと違ったアイデアも生まれてくるし、今のもののメジャーチェンジなのか、マイナーチェンジなのかわからないけれど実装できてくるはずです。それが通常の起業道の進め方だと思います。

まずは興味を持った・目利きをしたオポチュニティフィールドがあって、そこで自分がさらにリサーチをして物知りになる。誰よりもこの分野を知っている、誰よりもこの分野の人と繋がっている、そういう状態になったら、6割がた勝利ではないかと思います。

だから、あまり自分の今のアイデアに固執しないことが大切です。
「この事業を成功させよう」よりも、「この事業の内容、このフィールドを理解しよう」と思うこと。自分のアイデアを起点にせず、その産業自体、そこにかかわってる人、今までの歴史的経緯、あるいはバリューチェーン、実際のビジネスの流れを上流から下流まで全部見る。どこにプロフィットマージンが混ざっていて、自分をどこにおいたら一番良いかを客観視してみる。そういうポジショニングがとれると、すごくいいと思います。それやっている間に、その分野自体を好きになれるか、好きになれないか、ということが大切です。何か違う、面白くないと思ったら、違うところに行った方がいい。ギブアップする理由が、自分の事業のビジネスアイディアがうまくいかないからなのか、この分野自体にあまり興味がもてないのか、それは雲泥の差があります。

その分野自体にあまり興味が持てないなら、事業内容やアイディアをいくら変えても、多分永遠にギブアップが続くものです。

そうじゃなくて、まずはそのフィールドを好きになって、その分野のエキスパートになること。そうすれば、必ずどこかで活きる術が出てきます。ただ、そのフィールドがいいかどうかは、自分で判断するというスタンスがいいのではないかと思います。

 

今回は、「全米ナンバー1起業家スクールの「Dr. Failure」によるの熱血起業塾 vol.1 ~挑戦への「漠然とした不安」を乗り越えるためのマインドセット編~」をご紹介しました。如何だったでしょうか?本サイトでは、「私も一歩踏み出してみよう」と思える。挑戦者の行動を後押しする記事をご紹介しています。

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投稿者

  • Boston SEEDs運営

    Boston SEEDs は B-SEEDs LLC (Delaware, US) 運営のオンラインメディアです。”Entrepreneurship Mindset”のカルチャーを世の中に更に浸透させるべく主にボストン在住の現役の MBA 生がボランティアで活動運営しています。 Note

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