なぜ新しいことに挑戦するのは難しいのか?

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新しいことに挑戦するのは難しいことです。私たちは、一度成功した選択を何度も繰り返してしまうものです。

 

サッカーをしている友人によると、攻撃の際にボールをゴールまで運ぶ方法は何通りもあるそうです。周りにはGKを除いて9人の味方選手がいて、右からも左からも攻められるし、パスを出しても自分でドリブルしてもいい。無限の選択肢の中で、ゴールにたどり着くものだけ数えても、いくつもあることが想像できます。

 

しかし、ゴールまで運べるルートの中にも、優劣があります。よりリスクの小さいルート、より少ないボールタッチで運べるルート、より速くゴールできるルートなど。だから選手たちは、無事にゴールが決まったとしても振り返りを行い、「ここはもっとこうすればよかった」「次はこうしよう」と改善点を指摘し合うのだそうです。

 

これは初めに述べた、「一度成功した選択を何度も繰り返してしまう」とは真逆の行動です。より良いものがあるかもしれない、と「実験」の手を緩めず、挑戦し続ける。成功のカギはそこにあるのかもしれません。昨日成功したやり方を今日も明日も続けていたら、進歩はありません。しかし、それを分かっていながらなお、「挑戦」という行動をするのは難しいことです。私たちの挑戦を妨げるのは何なのか。どうすればそのマインドセットを変えることができるのか。今回はこの問題について、アメリカの経済学者の記事をご紹介します。

 

習慣の強力さと新たな挑戦をすることの意義

 

アメリカ・ボストンのハーバード大学経済学の教授であるセンディル・ムライナサン氏は、新しいことに挑戦する難しさについて、いくつかの例を交えながら論じています。彼が唱える、習慣の強力さ新たな挑戦をすることの意義を紹介します。

 

センディル氏はまず、自身の生活習慣について述べています。『私は、毎日2Lほどのダイエットコーラを飲みます。これをジェネリックブランドのものに変えれば、いくらのお金が節約できることか。分かってはいるのですが、毎日同じ、割高なブランドのダイエットコーラを買います。安いブランドは試飲したことすらありません。多くの人がそうであるように、私は個人的な生活において、小さなことでも大きなことでも、ほとんど「実験」をしていないのです。』

 

「実験」が大きな報酬を生む可能性があるだけに、これは残念なことです。安い別ブランドのコーラを試してみるのは大したリスクではないし、もし乗り換えるほど気に入れば、今後購入するコーラが全て安くなるため、その見返りは大きい。それが分かっていながら、彼は同じコーラを買い続けます。これは彼に限った話ではありません。皆さんも身に覚えがあるかもしれませんが、ある研究では、人間の行動の47%は習慣的なものであると推定されています。

 

2014年2月5日、ロンドン地下鉄の労働者が48時間のストライキに突入したため、いくつかの駅を閉鎖せざるを得なくなったことがあります。駅の封鎖に影響を受けた通勤客は、別ルートで目的地に向かわなければなりませんでした。ストライキが終わると、ほとんどの人は以前のルートに戻りました。しかし、20人に1人はストライキ中に使っていた新ルートを採用し、結果として平均32分の通勤時間を6.7分も短縮しました。

 

これは、ストライキによる閉鎖が代替路線を試すことを余儀なくさせ、それが通勤客にプラスの結果をもたらしたということです。もし、ストライキがもっと長引けば、さらに多くの乗客が、自分の「お決まりのルート」の改善点を発見することになったでしょう。

 

多くの人がストライキによって初めて実験をせざるを得なかったという事実は、実験に対する一般的な抵抗感の根深さを示しているといえます。ストライキにより強制的に別ルートを試す羽目になるまで、乗客たちは自らより良いルートを検討するということはしてこなかったわけです。例えば、自分のお気に入りのレストランを思い浮かべてみると、何度も足を運んでいるにもかかわらず、試したことのあるメニューが少ないことに驚かされると思います。また、職場の近くにあるランチスポットを思い浮かべてみると、同じ店に何度も足を運んでいることに気づきます。

 

習慣は強力です。私たちは今を大切にするあまり、多くの習慣を持ち続けています。新しいことに挑戦するのは苦痛です。そのコストはすぐに現れますが、その恩恵は抽象的で、遠く感じられる未来に享受されることになるからです。

 

過信もまた、私たちの足を引っ張ります。試していないにもかかわらず、代替品がどのようなものかを推測して、現状維持が良いと過度に確信してしまうのです。

 

これまで述べたように、いわゆる「選択」の多くは、実際にはまったく「選択」になっていません。先ほどのコーラの例では、スーパーマーケットの通路を歩いていても、コーラについて熟考して決断することはありません。ジェネリックの商品には目もくれず、カートを走らせながら、ただ自動的に、いつものダイエットコーラのボトルを手に取るのです。

 

これは、私たちの個人的な生活においてのみ当てはまることではありません。例えば、採用活動において経営者は、どのような応募者が従業員としてふさわしいかについて、先入観を働かせがちです。しかし、これはただの推測に過ぎず、「実験」という精査を受けることはほとんどないのです。男性や白人、経済的・文化的に恵まれた環境にある人が有利であるという前提がある場合、「実験」をすることで、その前提が間違っていることを証明することができるかもしれません。逆に、「実験」をしなければ、その前提はいつまでも経営者の選択肢を狭め続けることになります。

 

政府の政策立案者にとって、「実験」とは茨の道かもしれません。1つ2つの選択が大きな意味を持つ政治の世界では、人々の生活をただ弄ぶだけに終始する可能性がある「実験」に警戒心を抱くのは当然です。しかし、その警戒心ゆえに、現状維持に自動的なバイアスがかることにも注意しなければなりません。「現在の政策がベストである」という信念は、実際には、過信、歴史的偶然、前例の力によって支えられているグラグラの構造であるかもしれないのです。

 

「実験」とは謙虚な行為であり、何か違うことをやってみなければ分からない、ということを認めることです。

 

その事実を理解することが第一歩であり、その上で行動することが重要なのです。昔からの習慣にこだわるのは楽ですが、たまにはジェネリックコーラを買ってみてはいかがでしょうか?

 

今回は、なぜ新しいことに挑戦することは難しいのかについてご紹介しました。如何だったでしょうか?本サイトではボストンで話題のニュースをご紹介しています。ご質問やご意見あれば、是非お問い合わせフォームをご活用ください!!記事が良かったらシェアをお願いします!

 

引用:The New York Times「Why Trying New Things Is So Hard to Do

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