近年、新型コロナウイルスの流行やテクノロジーの急激な変化を背景に、「先が見えない時代」と表現されることが多くあります。このような時代の中で、将来のキャリアに不安を抱えている方や、転職を検討しているけれど一歩踏み出せない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
転職活動で不利に働く要素の一つに「高齢」であることが挙げられます。しかし、この不利な条件下でも工夫を凝らし、転職活動に成功している人がいます。
このような人たちは、いくつかの戦略を立てて転職活動を行っています。彼らの事例は、戦略次第では、不利な状況下でも転職活動がうまくいくということを示しています。そこで、今回は、代表的な4つの戦略についてご紹介します!
年齢差別に正面から取り組む
一つ目の戦略は、年齢差別の現実を避けず、正面から向き合うことです。例えば、直接、採用担当者に対して若さをアピールしたり、履歴書を審査するボットをかいくぐるような、若々しさをアピールした書面を作ったりする人もいます。また、若手社員にとって必要不可欠なメンターであることをアピールする人もいます。
学術研究や雇用の専門家によると、年齢差別は、最も陰湿な形の職場差別の一つとして存続しています。2021年の調査では、ニューヨーク大学とスタンフォード大学の研究者が、職場での人種差別や性差別に反対する人たちが、高齢の社員に対して偏見を持っていることを明らかにしました。彼らは、高齢の社員は若い社員のために身を引くべきだと考える傾向があるといいます。
さらに、求人広告の多くは「デジタルネイティブ」や「新卒」といった言葉で若い求職者をターゲットにしており、雇用主は実績のあるベテランよりも若い人材に採用活動を集中させているようです。
履歴書にパンチを効かせる
アメリカのウィスコンシン州に住むジェニファー・ケイ・ラウス氏(61歳)は、昨年、企業買収によってセールスアカウントマネージャーの職を失いました。しかし、ラウス氏は、面接官に建設的なアドバイスを求め、「確かな評判」や「高い業績」といった言葉で履歴書にパンチを効かせることで、カスタマーサクセスマネージャーとして転職に成功しました。
ラウス氏は、健康的な体型を維持し、後ろと横の髪を短く剃った「エッジの効いた」ヘアスタイルで、若々しさを保っています。何度か面接を受けましたが、採用には至らなかったので、「どの程度、年齢が関係するのかどうか」を興味から面接官に聞いてみたといいます。
面接官は、彼女の年齢には直接触れませんでしたが、その経験の長さから、「知ったかぶりで入ってきた」と思う面接官もいるかもしれない、と指摘しました。そこで彼女は、チームプレーができる人であることを面接で強調することにしました。そして、自分が年上であることを認めて、年下の同僚の指導ができるだけでなく、自分も指導されることに前向きであることを強調しました。
LinkedInで見つけた、125ドル(17,000円、2022年8月現在)で履歴書の添削を行っている業者を利用することで、より現代的な書式と「卓越した顧客関係」などの話題性のあるフレーズを用いて履歴書を刷新しました。その結果として、面接官からの食いつきが良くなったといいます。ラウス氏は、新しい職場で前職よりも多くの収入を得ることができました。
応募者を選別するボットを回避する
雇用主が年齢を理由に応募者を拒否することは法律上できませんが、候補者を選別するアルゴリズムの中に、年齢差別がさりげなく存在することがあります。応募者選別ソフトは、履歴書に長い空白期間がある高齢者を排除できる可能性があります。また、WordPerfectやAOLメールなど、そのほかの媒体でも候補者を排除することができると、採用担当者は述べています。
2018年、17年間勤めた会社の配送・物流部門の中間管理職を解雇されたデール・ジョンストン氏(56歳)は、自分の履歴書を選別するアルゴリズムがあることを踏まえて準備していたといいます。例えば、勤務年数を「17年」の代わりに、「10年以上」と書きました。このように、ボットやAIを突破するために、何を入れるか、時間軸を意識して履歴書を作成していました。
また、髪が長いと白髪が多く見えるため、面接中は髪を短く刈り上げていたそうです。2019年に自治体のアナリストとして就職し、1年後に経費削減により失職になった後、同じ戦略で物流運輸会社の業務管理者に応募し、現在に至っています。
メンターとして位置づける
サンフランシスコのキャリアコーチ兼リクルーターであるジニー・チェン氏は、希望の職業との関連性の薄い初期の職歴は、履歴書から削除したほうがいいとクライアントにアドバイスしています。
例えば、総労働経験が25年以上であっても、最後の15年が、次に就職したい職業に最も関連している場合、新しい時間軸に焦点を当て、関係していない10年を履歴書から消したほうがいいのです。
年齢ではなく、あなたの才能に焦点を置くことが大事です。「雇用主は、使える人材であるかを評価するので、労働力として過ごした時間ではなく、何を学んだか、何が得意かを強調することが重要です」と、アーバン研究所の退職政策プログラムディレクター、リチャード・W・ジョンソン氏は言います。
ハリー・モーズリー氏は、2018年初めにKPMG USの最高情報責任者という仕事を62歳で退職しましたが、その数カ月後にメンターと位置づけ直して再び働き始めました。
退職後、彼は自分のネットワークに、新しい事業や他の会社のコーチをすることに前向きであることを伝えていました。そんな折、友人からZoom Video Communications社のグローバル・チーフ・インフォメーション・オフィサーにならないかという誘いがあり、参加することにしました。
現在66歳のモーズリー氏は、仕事をする上で、変化に対して抵抗感がないように見せることを大切にしているといいます。それと同時に、自分の経験を生かして同僚を指導することで、楽しく仕事をしているといいます。
今回は、コロナ禍でより一層厳しさを増す、50代からの転職に関連して、転職活動を成功させるための戦略をご紹介しました。如何だったでしょうか?本サイトではボストンで話題のニュースをご紹介しています。ご質問やご意見あれば、是非お問い合わせフォームをご活用ください!!記事が良かったらシェアをお願いします!
引用:The Wall Street Journal「The Secret to Getting a Better Job After 50」
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