ハーバード流!イノベーション創出のための秘訣とは

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企業・社会におけるイノベーションの重要性が叫ばれる中、イノベーションの創出やスタートアップエコシステムの構築に向けて、大学に期待される役割はますます高まっています。その一方で、日本における産学連携やスタートアップ支援の取組は限定的であり、どのような取組が効果的なのか気になっている方も多いと思います。

そこで今回は、世界トップの大学であるハーバード大学(アメリカ・ボストン)が、イノベーション創出、スタートアップビジネスの活性化にどう取り組んでいるのか紹介します。ハーバード大学は、学生や卒業生によるビジネスアイデアが、前進、拡大、そして世界に発信されるよう支援しています。先月もピッチイベントが開催され、同大学発の有望なスタートアップが、そのビジネスをさらに発展させるための資金を手にしました。

 

ハーバード大学によるイノベーション創出のための仕組み

ハーバード大学は、学内にハーバード・イノベーション・ラボと呼ばれるエコシステムを持っています。厳選されたアドバイザーやメンターとのネットワーク、大学内での交流機会の提供、包括的なリソースやプログラムのサポートを通じて、ハーバード大学の学生や卒業生のイノベーション創出を支援します。同組織のHP

「知識がイノベーションのエンジンであるのに対して、つながりとコラボレーションは燃料であると信じています」

とあるように、単なるノウハウや資金だけでなく、仲間とのつながり、創造的な衝突の機会などを提供することで、独自のエコシステムを形成しています。

ハーバード・イノベーション・ラボ内のプログラムを語る上で特筆すべきは、i-lab(アイラボ)の活動です。

アイラボは、ハーバード大学全13学部の現役学生のためのコミュニティです。アイラボでは、起業の初期段階から、学生が必要とする幅広いリソースとプログラムを提供しており、ハーバード大学の学生であれば誰でもアクセスすることができます。2022年に10周年を迎え、これまでに150カ国、3,000社以上のスタートアップと協力し、約50億ドルの資金を調達してきました。

具合的なリソースやプログラムとしては、教授陣、法律の専門家、ベンチャーキャピタル、業界リーダーなど、経験豊富な起業家やイノベーターたちの広大なネットワーク、フィードバックやネットワークを提供するベンチャープログラム、ビジネスノウハウに関するワークショップ、そして今回ご紹介するPresident’s Innovation Challenge(プレジデンツ・イノベーション・チャレンジ)があります。

プレジデンツ・イノベーション・チャレンジ(PIC)は、ハーバード大学の学生や卒業生などが主導するスタートアップに対して、アイデアを前進させ、資金を調達するためのチャンスを提供します。7ヶ月間のプログラムにおいて、参加者はアドバイザーとのミーティング、ワークショップ、パネルディスカッションなどハーバード・イノベーション・ラボからの強力なサポートを通じて、自らを成長させていきます。ヘルス&ライフサイエンス、ソーシャル・インパクトなど5つの分野に分かれており、それぞれの分野で、優勝賞金75,000ドル(約970万円、2022年6月2日現在(以下同じ))と準優勝賞金25,000ドル(約320万円)が授与されます。また、世界を変える可能性のあるアイデアを推進しているチームに、10,000ドル(約130万円)の特別賞(Ingenuity Award)を授与しています。

このプログラムは、ハーバード大生に向けた行動喚起でもあります。学生が知識を得てアイデアを磨き、仲間やメンターと出会い、競争し評価され、さらなる前進のための資金を得るという一連の流れをサポートすることで、グローバルな課題の解決に向けた新しい社会価値の創造を推進します。世界トップクラスの学生を抱えるボストン・ハーバード大学から、グローバルな問題解決のためのイノベーションが生み出される、その仕組みとしてPICは機能しているのです。

 

2022年 プレジデンツ・イノベーション・チャレンジ受賞企業

ハーバード流!イノベーション創出のための秘訣とは

引用:Harvard Gazette

今年は、アイラボから約150チームがPICに参加し、賞金の獲得を目指して競いました。そして、2022年5月、この中から25チームが選ばれ、総額51万ドル(約6600万円)にも及ぶ賞金をかけて、ピッチを行いました。なお、これらの資金は、地域コミュニティの発展や海洋保全、ライフサイエンスの研究に取り組むベルタレッリ財団から提供されました。

 

以下では、今年のPICで優勝し、75,000ドルを受賞した団体を簡単にご紹介します。

Adaptilens(アダプティレンズ)

人の水晶体に近い柔軟性を持った、独自の眼内レンズを開発。

 

Aurie(オーリー)

再利用可能な尿道カテーテルをはじめ、障がい者が日常的に使用する医療サービスや医療用品を設計。

 

Hue(ヒュー)

顧客の肌の色やタイプ、美容の好みを識別し、同じ肌色を持つ人たちのレビューやおすすめ商品を集計して、最適な美容製品を提案するシステムを開発。

 

Limax Biosciences(リマックス・バイオサイエンス)

伸縮自在の粘着性ハイドロゲルによる体内および体外の傷害の治療を実現し、従来の製品よりも即効性・強度に優れた組織接着剤を開発。

 

Myspeech(マイスピーチ)

テクノロジー・プラットフォームにより、質の高い言語療法へのアクセスを実現。機械学習を活用し、吃音者に最適なセラピストやアプリケーションを提供。

 

準優勝25,000ドルを獲得したのは、以下の5社です。

CashEx(キャッシュエックス)

アフリカの移民が、母国の家族に手数料無料で送金できるように支援。取引を効果的にマッチングし、シームレスな通貨交換を促進する安全なデジタルプラットフォームを開発。

 

CassVita Inc(キャスビタ)

小麦の代替品となりうるキャッサバの賞味期限を延ばす独自の技術を開発することで、零細農家を支援。

 

Imago Rehab(イマゴ・リハ)

脳卒中患者の手の機能を回復させる、ロボット支援型バーチャルクリニックを開発。

 

M13 Therapeutics (M13・セラピューティクス)

Phage-derived particles(PDPs)と呼ばれる、独自の遺伝子導入粒子を設計。あらゆる治療用遺伝子をあらゆる標的細胞に送達することを目指す。

 

VATARA(ヴァタラ)

物理療法の1つである陰圧閉鎖療法(negative pressure wound therapy:NPWT)において、従来の製品よりも低価格なデバイスを設計。

 

また、特別賞を受賞したのは以下の4組で、それぞれに2,500ドルが贈られました。

Coastal Protection Solutions(コースタル・プロテクション・ソリューションズ)

従来のものよりも簡単に展開できる、沿岸の洪水から市民を守るシステムを設計。

 

ListenIn(リッスンイン)

脳と連携させ、群衆の中から話者を識別する補聴器を開発。

 

Madad(マダッド)

低コストの自動気象観測所と予測AIモデルを活用した、雪崩の早期警報システムを構築。

 

Speakden(スピークデン)

絶滅の危機に瀕している言語を流暢に話す人材育成のためのカリキュラムやプリスクールを開発。

今回は「ハーバード流!イノベーション創出の取り組み」をご紹介しました。如何だったでしょうか?本サイトではボストンで話題のニュースをご紹介しています。ご質問やご意見あれば、是非お問い合わせフォームをご活用ください!!記事が良かったらシェアをお願いします!

引用:

Boston Inno「Meet the winners of the Harvard President’s Innovation Challenge Awards

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