シリコンバレーの凄さ。エコシステムを作るための5つの秘密。

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アメリカ西海岸サンフランシスコ近郊・シリコンバレーは、日本でも有名な、世界有数のビジネス拠点です。そこでは継続的にイノベーションが起こり、グーグルやフェイスブックをはじめとする、有力なスタートアップが生み出されてきました。

この土地の実績の背景には、優れた「エコシステム」(企業や大学研究機関、政府、ベンチャーキャピタルなどが相互に依存しあい、一つのビジネス環境を構成する仕組み)があると言われています。ベンチャー企業の活躍には、ベンチャーキャピタルからの資金調達が欠かせません。

その点、いろいろな組織が隣在しているシリコンバレーでは、企業がベンチャーキャピタルに接近し、支援を受けて実績を積み、その資金やノウハウが未来の起業家に受け継がれ、企業が生まれ、さらなるベンチャーキャピタルが集まる…という好循環があるのです。

 

エコシステムは、資金調達はもちろん、新たなアイデアや社会のトレンドが生まれやすい場所でもあります。シリコンバレー同様、優れたエコシステムを持つボストンでは、起業家とハーバード大学やマサチューセッツ工科大学(MIT)をはじめとする大学研究機関がチームになって、新規事業を起こしているケースが多いです。

 

優れたエコシステムの形成により、新たなテクノロジーが生まれる環境を整備することは、昨今の日本の重大なテーマと言えます。それでは今後、「日本版シリコンバレー」を作るために必要なことは何なのでしょうか?今回はエコシステム作りに必要なこと、優れたイノベーション都市に共通してみられる特徴についてご紹介していきます。

 

 

エコシステム形成に向けた日本の動き

 

2020年7月、日本政府は、シリコンバレーのような拠点の構築に向けて、「グローバル拠点都市」の選定を行いました。選ばれたのは、東京都や横浜市、つくば市などから構成される「東京コンソーシアム」、愛知県、名古屋市、浜松市などのCentral Japan Startup Ecosystem Consortium」、大阪市、京都市、神戸市などの「大阪・京都・ひょうご神戸コンソーシアム」、福岡市などの「福岡スタートアップ・コンソーシアム 」の4都市圏です。政府がエコシステムの形成を目指す背景として、日本におけるIT産業の遅れ、ユニコーン企業(設立10年以内の未上場で企業価値10億ドル以上の企業)の少なさがあります。政府は、この事業を通して、民間ベンチャーキャピタルや日本政策投資銀行などからの投資を支援するほか、ユニコーン企業を各都市5社以上誕生させること、海外起業家の誘致を倍増させ「起業家の聖地」とすることなどを目指しています(各都市の進捗状況はこちら)。

 

 

優れたエコシステムを持つ地域の特徴

 

ただし、エコシステムの形成は一朝一夕というわけにはいかず、日本はおろかアメリカ全土で見ても、すでに成立している都市はごくわずかです。どのような地域が最もエコシステムづくりに成功しやすいのでしょうか?強力なイノベーション経済を構築する地域の特性とは何なのでしょうか?優れた都市に見られる5つの特徴を紹介していきます。

 

1.大学の研究

ボストンのMITのような世界トップレベルの大学の存在は、イノベーションの驚異的なエンジンになります。大学研究機関がその地域で企業や事業を立ち上げることは少なくありません。

 

2.人材

高学位を持つ人材から、機器の製造、テスト、メンテナンスができる熟練技術者まで、人材の確保は、急成長するすべての企業にとって最大の課題です。企業が育つ地域づくりには、人材を引き付け、その土地で働いてもらうための効果的なプログラムや、多様で不利な立場にあるコミュニティのメンバーでも、技術部門の仕事に従事できるようにするトレーニングなどが必要です。

 

3.不動産

柔軟で手頃な価格の商業用不動産を利用できることは、企業にとって非常に大きなメリットとなります。技術系のスタートアップや初期段階の企業は、事業を軌道に乗せるための基盤として不動産を必要とし、成熟してくると、事業を拡張するためのスペースが必要となります。特に研究開発からテスト、そして生産へと、市場の規模と開発段階の移行にともなって、不動産のニーズは変わっていきます。

また、複数の拠点を持つ大企業は、コストの安い地域、利用可能な物件、豊富な人材を持つ地域に従業員の一部を配置する柔軟性があることが、特に有利な条件となります。

 

4.行政・地域社会との関係性

もう一つの重要な特徴は、産業界と行政界のリーダーが、企業の成長のために協力できる関係性です。企業の成長は、単に経営者の利益となるだけでなく、地域全体のイノベーション経済の一翼を担います。

 

5.QOL(クオリティ・オブ・ライフ)の向上

だれしも、仕事上も生活においても魅力的な地域に住みたいと思うものです。アート、エンターテイメント、コミュニティイベント、その他のレジャー活動、公園、プール、図書館、サイクリングコースなどの公共施設へのアクセスなど、生活の質や活動の幅を高める要素は、住居選びにおいて非常に重要です。また同時に、自立した生活や子育てができるよう、手頃な生活費と多様な住宅オプションがある場所であることも大切です。

イノベーションの最前線に立ちながら、政府や市民のサポートを得て、ハイテク人材が求める充実した地域活動を手頃な価格で提供し、エコシステムの育成に総合的に取り組んでいる地域に、多くの優れた人材が集まるのです。

 

今回はエコシステム形成に重要な5つのポイントをご紹介しました。如何だったでしょうか?本サイトではボストンで話題のニュースをご紹介しています。ご質問やご意見あれば、是非お問い合わせフォームをご活用ください!!記事が良かったらシェアをお願いします!

 

 

引用:

Boston Business Journal「5 key attributes to look for in a tech region

CAPA,INC.「日本版シリコンバレーとは?必要性や場所、求められる人材を解説

産経新聞「《独自》日本版シリコンバレーへ 政府が東京・横浜など4都市圏を選定

投稿者

  • Boston SEEDs運営

    Boston SEEDs は B-SEEDs LLC (Delaware, US) 運営のオンラインメディアです。”Entrepreneurship Mindset”のカルチャーを世の中に更に浸透させるべく主にボストン在住の現役の MBA 生がボランティアで活動運営しています。 Note

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